
eスポーツって何?マーケターとして知っておきたい成長市場へのアプローチ方法を解説
eスポーツが日本でも注目されるようになり、大きな経済効果が期待されています。本記事では、eスポーツとは何か、マーケティング視点での有効性、さらに、企業が参画する場合の利点と具体的な方向性について詳しく解説いたします。
公開日:2022.7.20
eスポーツが、世界各国で盛り上がりを見せています。
日本でも2018年はeスポーツ元年と言われており、日本eスポーツ連合(JESUS)が発足しプロゲーマーの育成が本格化しました。さらに大会などのイベントも頻繁に実施されるようになりました。
このトレンドに注目しているのはゲーム業界だけではなく、食品や製薬会社といった異業種の業界からのスポンサーも増えてきています。また、地域振興の観点でも良い影響が期待されており、富山県や茨城県といった都心から離れた場所での大会に多くの人が実際に集まっています。
この記事では、eスポーツとは何か、なぜ注目されているのか、そして、マーケティングとしての価値についてご説明します。
eスポーツとは何か
eスポーツとは、いわゆるパソコンやスマホ、ゲーム機での対戦型の競技ゲーム全般のことです。サッカーなどのスポーツゲームだけでなく、格闘ゲームやパズルゲームも含まれます。
テレビゲームはスポーツなのか?という疑問を持たれる人もいると思います。
スポーツとは、体と頭を使って競技を楽しむものであり、頭と体(指先)を使って楽しむeスポーツも十分にスポーツの定義に当てはまります。
実際に、ゲームだと思って見た人が「思った以上にスポーツだった」という感想を持つケースも多いそうです。
eスポーツは実際のプロスポーツと同様に、観る人を魅了する要素を持ち合わせています。例えば、ふと立ち寄ったゲームセンターで高得点を上げてプレーしている人の周りに大勢の人が見物に集まっている光景を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
eスポーツが人気の韓国では、プロのチームや選手がファンを魅了して、大きな収益を稼ぎ出しています。eスポーツは、選手にも観戦者にも価値を見出せるエンターテイメントなのです。
eスポーツの市場規模は?
2022年のeスポーツの市場規模は、世界全体で約2,000億円に達すると言われています。
日本の規模は100億円程度ですので全世界の約5%ということになります。2018年の約40億円からここ数年で2倍以上に急成長していますが、日本のゲーム産業が世界のリーダーであることを考えると5%はまだまだ成長の余地があると考えてよいでしょう。
世界と日本で人気ぶりにギャップがあることから、政府はeスポーツをコンテンツ分野における新たな成長領域として位置づけ、注目しています。
eスポーツ市場の構成要素としては、約75%がスポンサー費、放映権が約10%、チケット料金が約5%となっています。経済的な波及効果はeスポーツ市場だけにとどまらず、様々な周辺の市場にももたらされ、社会的な意義も高いと考えられています。
下の図は経済産業省がeスポーツ連合とともに発足した「eスポーツ活性化のための検討会」において発表された経済効果と社会的意義を表したものです。

出典:https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190830001/20190830001-1.pdf
このようにeスポーツは、政府からも今後成長が見込まれる市場と期待されています。では次に、企業が参画する意義はどのような点にあるのかについてご説明します。
eスポーツに企業が注目するワケ
eスポーツを企業が注目する理由の一つが、その年齢構成です。
サッカーのJリーグの観客の6割が40代以上であるのに対して、eスポーツの観客は約8割が30歳未満で、中でも10代と20代前半が多くを占めています。
企業にとって、これからのトレンドをリードすると考えられるZ世代(1990年代後半から2000年代生まれ)やα世代(2010年以降生まれ)のニーズ動向を把握し、彼らに対して自社ブランドの認知を上げるにはうってつけの場所です。
Z世代のマーケティングにご興味ある方は以下の記事をご覧ください。
Z世代向けマーケティングを成功させるために。定義や特徴、手法を押さえよう
Z世代、α世代の特徴の一つとして、テレビをあまり見ず、SNSや動画配信サービスを短時間で視聴することが多いようです。
そのため、Z世代・α世代向けのマーケティングを行いたくても、テレビCMでは効果が見込めず、また短時間のネット視聴では印象に残るPRが実施しにくいという難点がありました。
しかし、eスポーツでは状況が異なります。通常のスポーツ観戦と同様に、一度見始めると数時間見続けることが多いのです。つまりeスポーツとマーケティングをうまく掛け合わせることができれば、若い世代の人たちにしっかりと広告の内容を記憶してもらうことができます。
ここまでのお話で若い世代へのアプローチにeスポーツが有効であることはお分かりいただけたかと思います。では、企業はどのようにeスポーツへ関与することができるのでしょうか。
スポンサーになることの企業におけるメリット
一番、手っ取り早い方法はスポンサーになることです。
スポンサーになることのメリットについて見ていきましょう。
eスポーツに限らず、スポーツチーム及びイベント等のスポンサーとなることのメリットは、大きく2つあります。

1. 会社・商品の認知拡大
チームや大会のスポンサーとなることで会社名、商品名がチームのファンやイベント参加者に記憶されることが期待できます。
サッカーチームのユニフォームにはスポンサーのロゴマークが付けられており、熱狂的なファンは選手と同じスポンサーロゴのついたユニフォームを着て応援にかけつけます。他にも会場の看板や選手会見の背景など、いろんな場面に会社名、商品名を露出させることができます。
例えば、インターネット通販など多角的事業を展開する楽天グループはスペインのサッカーチームの強豪FCバルセロナのスポンサーとなっていますが、ユニフォームの胸には「RAKUTEN」のロゴマークが付けられ世界中で販売されています。楽天がグローバル企業へと飛躍しようという戦略が見て取れます。
2. 地域社会への貢献をアピール
地元のスポーツチームや大会などに協賛することで、地域活性化や社会貢献に積極的な企業であるというイメージを確立できます。
明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田生命)はJリーグのタイトルスポンサーですが、それだけに留まらず、全国に54あるJ1,J2,J3すべてのチームに協賛しています。
これには、明治安田生命が地域密着の経営を行うJリーグクラブのコンセプトに同意し、地域に根ざした企業でありたいという想いが表れています。
eスポーツのスポンサーは今がチャンス
eスポーツのスポンサーとなる場合に、期待できるメリットは基本的にプロスポーツと同じですが投資規模は異なります。上で挙げた楽天、明治安田生命などの投資規模が莫大なことは想像に難くないでしょう。
一方でeスポーツはこれから伸びていく成長市場ということもあり、プロスポーツより低コストでスポンサーになれます。もちろん、将来的にeスポーツの認知が広がり、スポンサーとしての価値が高まれば、必要な投資額は上がることになります。
つまり、他社より先んじて参入することが重要です。eスポーツの成長とともにブランドの認知向上にも繋がり、また、パイオニアとしての地位を築くことができます。
若い世代へのマーケティング・ブランディングという観点では有効な投資と言えるでしょう。
ここまではeスポーツを企業としてサポートすることのメリットについてご説明しました。次は、どのようなスポンサーの形態があるのかご紹介します。
スポンサーの3つの投資の方法
スポンサーの形態には、主に以下の3つがあります。

こちらも順番にご説明します。
1. 大会・イベントへの投資
eスポーツ大会にスポンサーとして参画するのが1つ目の方法です。大会ごとにスポンサー契約を結ぶので、参入・撤退がしやすいという利点があります。
また地方で開催されるイベントでは地元企業の技術を若い世代にPRする機会となります。
2019年に富山県で開催された「Toyama Gamers Day 2019」には地元企業26社がスポンサーとして参画しています。その内の1社、銅製品を作る企業は、景品作成を依頼され同社の伝統的な銅製品の生産の技術を活かして、ゲームに登場する盾を再現した表彰盾を作成しました。
このように、若者に地元の伝統的な技術を知ってもらう機会となっているのです。
2. チーム・個人への投資
eスポーツチームやプロゲーマーとスポンサー契約を結ぶ方法です。
例えば、チームとスポンサー契約を結び、ユニフォームにブランドエンブレムを付けてもらえることがあります。もしそのチームが大会に出場し、優勝してインタビューシーンでユニフォームがアップで映れば、高い宣伝効果を期待できます。
ただし、日本においてはeスポーツチームやプロゲーマーの数は多くない点は注意が必要です。また、大会・イベントのスポンサー契約はスポットであるのに対して、こちらは中長期での契約が前提となっている点も覚えておきましょう。
事例として、ロート製薬株式会社は若者への目薬習慣を根付かせるという目的からプロゲーマーと契約しています。それ以外にも「ベビースターラーメン」で有名な株式会社おやつカンパニーは、新しい商品開発の機会になると考え、地元のeスポーツチームに協賛しています。
施設への投資
eスポーツを体験できる施設のスポンサーとなる方法です。特定のプロチームや大会ではなく、eスポーツの社会への普及のための投資となります。参入・撤退は比較的容易ですが、短期間のイベントとは異なり施設が運営される通年での参画が必要となります。
大阪府吹田市にあるeスポーツデジタル教育施設「REDEE」には、オートバックスセブン株式会社が参画しており、ドライビングシュミレーターを体験できるスペースを設置しています。
子供でもできるドライブ体験を通して、同社の目指すクルマ社会の創造力の活性化やモータースポーツのすそ野拡大を狙っています。
3つの形態をご紹介しましたが、一番多いのは大会・イベントへの投資です。イベント会場でサンプル配布による認知拡大などもできるので比較的効果を実感しやすく、また容易に参画できるのがその理由です。
マーケターが今すぐすべきことは?
スポンサーになるメリットとその形態についてご理解いただけましたでしょうか?
とはいえ実際に投資をするのは難しいかもしれません。特にeスポーツと直接的な関連性のない業種の企業にお勤めの場合は、会社からの理解を得るのも大変だと思います。では、どうすればよいのでしょうか?
結論としては「まだ慌てる必要はない」でしょう。
もちろん、途中ご説明したように他社より早く参入し、先行者利益を獲得できるのが理想ではあるものの、eスポーツはまだまだ伸び続けていくことが想定されます。
だからこそ、今マーケターとしてするべきことは、eスポーツの可能性、有効性を理解した上で、実際に経験をしてみることでしょう。
特に、これまでゲームに費やす時間がなかったという多忙な方は、一度、近くにeスポーツ施設がないか探して実際に行って体験してみましょう。子供の頃のゲームセンターやゲーム機での思い出とはまったく違う経験ができるはずです。
そして、自社の地域でのeスポーツに対する活動にはアンテナを張り巡らせておきましょう。無関心でいるよりも大きな確率で参画の機会がやってくるはずです。
まとめ
eスポーツの将来性や若い世代に対してのマーケティング施策としての有効性、企業が参画する際の方向性についてご説明しました。
最後に述べましたように慌てて参画する方法を探し求める必要はありません。
まずは、eスポーツについて理解し、可能であれば体験することをおすすめします。
Z、α世代の思考やニーズを知るためのヒントが見つかるかもしれませんし、自社とeスポーツの接点を見つけ出すことも可能かもしれません。
ぜひ最寄りのeスポーツ施設を検索してみてください。

ピクルス / マーケターのバディ
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