マーケティングDXとは?3つのメリットや推進ポイント、成功事例を解説!
デジタル技術の発展に伴い、DX(デジタルトランスフォーメーション)に近年注目が集まっています。そんなDXをマーケティングにも活用する企業が増えているため、本記事では、マーケティングDXの基本やメリット、推進ポイントについて事例を交えてご紹介します。
更新日:2022.7.29 公開日:2022.7.8
ここ最近、多くのメディアでDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が取り沙汰されています。
おそらく本記事をお読みの皆さまも一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
経済産業省が出しているDX 推進ガイドラインでは、DXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
分かりやすく言えば、デジタル技術を活用して、人々の生活やビジネスに変革をもたらすことを指します。デジタル技術の進歩やAI技術の発展、スマホユーザーの増加をうけて、多くの企業がこのDXに取り組んでいます。
ビジネスにおけるDXは、企業の営業活動や事務作業などを対象にすることが多い一方、マーケティング活動にも役立てることが可能です。
マーケティングDXを推進することで、顧客に新しい体験を提供できたり、業務の効率化を図れたりと、様々なメリットがあります。
とはいえ、DX推進は簡単に実現できるほど甘いものではありません。
そこで本記事では、
「これからマーケティングDXを推進したい」
「既に取りかかっているものの、思うように進んでいない」
という方に向けて、マーケティングDXの基本、メリット、進める際のポイントをご紹介します。
マーケティングDXとは?
上述した通り、ビジネスにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、製品やサービス、ビジネスモデルを、ITやデータを活用して変革していくことです。
それを踏まえて「マーケティングDX」とは、市場調査や商品開発、販売促進、効果検証といったマーケティングのプロセスをITツールやAIを導入してデジタル化することはもちろん、最終的には新しいビジネスモデルや顧客価値を生み出すことを指します。
「DXとITツール導入の違いが分からない…」という方もいるかと思いますが、DXとは、「ITツールを導入・活用したうえで、これまでとは違った変革を生み出すこと」を目的としています。
ITツールは、「これまで人の手によって行われていた作業をツールを使って自動化すること」を目指すため、ITツール導入の先にDXがあるのです。
最近耳にすることの多い、MAツールの導入なども、DXを進めるためのプロセスの1つとして捉えてみてください。
マーケティングDXとデジタルマーケティングの違いについて
また、「デジタルマーケティング」もマーケティングDXとの違いが分かりづらい言葉の1つです。デジタルマーケティングとは、デジタル技術を活用したマーケティング手法のことを指します。
例えば、WebサイトやSNS、Web広告といったオンラインのマーケティング施策はデジタルマーケティングですが、それだけでなくリアル店舗で記録した顧客の来店や購入等のデータ活用もデジタルマーケティングに含まれます。
このように「デジタルマーケティング」がデジタルを活用したマーケティング手法を指すのに対して、繰り返しになりますが「マーケティングDX」とは、デジタル技術を用いてマーケティングプロセスや、ビジネスモデルを変革することを意味しています。
IT×マーケティングというイメージで2つは混同されがちですが、デジタルマーケティングもDXの1種であるものの、最終的な目標が異なると理解してください。
マーケティングDXを推進する3つのメリット
マーケティングDXがどのようなものかご理解いただいたところで、この章では企業がマーケティングDXに取り組むメリットを3つ解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1. 勘や経験ではなくデータをもとにした客観的な判断ができる
企業がマーケティングDXに取り組むメリットの1つ目は、 勘や経験ではなくデータをもとにした客観的な判断ができることが挙げられます。
デジタル技術が普及し、日に日に技術進化を遂げている現代では、デジタル技術の進歩に合わせて、驚くべき速さで市場や消費者のニーズ、購買行動も変化していきます。
この激しい変化に企業が対応するためには、これまで培った勘や経験ばかりに頼るのではなくデジタル技術を活用して、蓄積したデータをもとに客観的な判断を行うことが重要です。
少し思い返していただくと、私たちが商品を購入する時には、オンライン上で情報を集めて実店舗で買ったり、実店舗にたまたま通りかかって商品を知り、帰宅してからWeb上で購入したりと、企業側からは予測するのが難しい複雑なプロセスを経て購買に至ることも多いはずです。
予測が難しいマーケティング活動で成果を出すためには、集積されたデータから実際の売上や顧客の購買プロセスを参考に施策を考えていくことが欠かせません。
だからこそマーケティングDXにより、データ収集できる基盤を作ることが大切なのです。
メリット2. 顧客とのコミュニケーションの質が向上する
マーケティングDXを進めるメリットの2つ目は、データが蓄積され顧客とのコミュニケーションの質が向上することです。
マーケティングDXが進むと、顧客のあらゆる情報がデータとして蓄積されていきます。過去に何回サイトに訪れて、どのページを何分見ていて、最終的にどういった商品を購入してくれたのかなど、顧客の行動や購買のデータがすべて把握できるため、例えばそのデータをもとにAIが最適な商品をレコメンドしてメールを送ることも可能です。
すると、今までは一斉送信の内容で自分には関係が無いなと思っていたメールが、「まさにこういう商品が欲しかった!」というメールに変わり、コミュニケーションの質は向上していきます。
このように、DX化によって蓄積された顧客情報を個別のコミュニケーションに活かすことで質の高いオファーや顧客体験に繋がり、企業の利益向上にも寄与します。
メリット3. 業務プロセスを効率化できる
マーケティングDXを進めるメリットの3つ目は、効率化です。
マーケターの業務は多岐に渡ります。広告の配信作業やSNS、Webサイトの運営だけでなく、データ分析や商品・サービスの改良、役職によってはプロジェクト管理なども行う必要があります。
そんな一分一秒が惜しいマーケターだからこそ、全てを人の手で行うのではなく、機械でできる業務は自動化し、思考や判断を伴う業務に人は集中しようという考え方が広まっています。
特にマーケティングDXが進むことで効率化されるのがデータの収集と分析です。正しい分析を行うためにはデータを収集する必要があり、データを収集する作業は意外と時間がかかるものです。
マーケティングプロセスをデジタル化することで、必要な情報を簡単に収集、分析することができ、業務の生産性が向上します。
マーケティングDXにおける課題
ご紹介したようなマーケティングDXのメリットを理解し、実際に着手し始めている企業もいる一方、マーケティングDXが思った通りに進まない企業も多くいらっしゃいます。
DXを推進するには大きな課題があり、その1つが「DX人材の不足」です。
マーケティングDXではITツールの利用が必須ですが、そのツールを活用できる人材不足に悩んでいる企業が多いのです。
実際に株式会社電通デジタルが実施した調査でも、DX推進上の障害は「スキルや人材不足」がトップとなっています。
たとえ、ITツールを導入したとしても、それを活用し、成果に結びつけられる人材を確保していなければ、マーケティングDXは失敗に終わってしまいます。
そこで次章では、マーケティングDXを推進するためのポイントについてお話します。
マーケティングDXを推進する際のポイント
この章では、マーケティングDXを進める際の重要なポイントをご紹介します。
先ほどもお伝えしたように「DX人材の不足」は企業がDX化を進める際の大きな障壁となっています。社内にDX人材がいないというだけでなく、市場全体を見渡してもDX人材が不足しているため、採用をするのもなかなか難しいというのが現実です。
そこで、大企業を中心に「DX人材育成」の取り組みが進められています。
例えば、DXの推進に力を入れているダイキン工業では、2017年に大阪大学の協力を受け「ダイキン情報技術大学(DICT)」という社内講座を創設しています。
AIのシステム開発や技術の活用など、年次・役職問わず全社員を対象とする講座も用意しており、「AI活用人材」の育成を企業が主導して行っています。
このように企業主体でDX人材の育成を行えば、マーケティングDXも進みやすくなるでしょう。
しかし、ここでも一つ問題があります。
それは、DX人材を育成するにはDXを教える人材が必要だということです。
リソースが限られている中小企業が社内だけでDX人材育成の取り組みを進めるのは現実的ではないため、いかに社内の人手をかけずにマーケティングDXを進められるかがポイントとなります。
そんな中小企業におすすめの具体的な方法を4つご紹介します。
それぞれ詳しく見ていきます。
方法1. 外部にアウトソーシングする
1つ目は、外部にアウトソーシングしてしまうことです。
社内にノウハウが存在しない場合は、最初から内製化しようとせず、外部への委託も選択肢として入れておきましょう。
特に現在行っている施策で手いっぱいの状況では、ツールを導入しレクチャーを受けても使いこなすのは困難です。その場合は、ツールの運用まで外部に任せてしまい、運用報告を共有しながらPDCAを進めていくのが効率的です。
委託先の選び先は以下の記事を参考にしてみてください。
▼失敗しない協力会社の選び方:業務委託先を見極めよう
もちろん、最終的には内製化できたほうがコスト面はもちろん、運用の小回りがしやすい点でも理想的です。リソースに余裕が出てきたら方法2の方向に舵を切るのがよいでしょう。
方法2. ツールを導入してある程度の教育を受けたあとに自走する
2つ目は、ツールを導入後、一定期間はツール運用に関する教育を受け、その後は社内の人間で進めていく方法です。方法1で解説したように、社内に人的リソースがある場合はこちらを検討してみてください。
多くのITツールでは、導入支援プログラムが用意されています。
最初の数か月間の運用コンサルや1年間の伴走プログラムなど、内容は様々ですが最終的に社内で自走を目指すオプションがあるはずです。
オプション料金となるケースが多いため、ツール自体の利用料に加えて追加費用はかかるものの、アウトソーシングで丸投げするよりは低コストで抑えられます。
1点だけ注意としては社内に人的リソースがあったとしても、その中にITリテラシーの高い人材がいないと立ち上がりまで時間が掛かり過ぎてしまったり、最終的に内製化まで辿りつかなかったりする可能性があります。
もしITリテラシーの高い人材がいない場合は方法3を検討しましょう。
方法3.外部の研修を活用してDX人材を育成する
3つ目は、外部の研修を活用して社内のDX人材を育成する方法です。
既存の業務オペレーションが問題なく回っており、学習の時間を確保できる場合は効率的です。
本来であれば社内研修等が理想ですが、なかなか研修が可能なDX人材を確保するのも難しいでしょう。ですので初めは外部の研修やセミナーを活用して、DX人材の育成を進めていきましょう。
最近は研修だけでなく、DX人材の育成に役立つeラーニングサービスなども増えています。eラーニングであれば多忙な社員であっても隙間時間を有効活用して学習を進められるため、研修に参加させることが難しいといった場合は検討してみてください。
しかしこの方法ではDX人材を育成してからでないと、ITツールを導入できないので時間がかかってしまいます。急ぎでマーケティングDXを進めたい場合は方法4がおすすめです。
方法4. 初心者にも使いやすいツールを導入する
4つ目は、初心者でも使えるツールを導入する方法です。
最初から、DX人材を確保して本格的なツールの運用を進めるというのは難しく、失敗のリスクも高いです。そこで、まずは初心者でも使えるツールの導入から始めるのも一つの手です。
もし、初心者向けのツールを導入するのであれば
・ノーコードで活用できる
・ひな形を選ぶだけなどの簡単な手順になっている
・初心者マニュアルが充実している(マニュアル無しでも直感的に操作できる)
といったポイントを意識して検討してみるのがおすすめです。
例えば、ピクルスで提供している診断コンテンツクラウド「ヨミトル」であれば、ノーコードで診断コンテンツを作成でき、複数のひな形を用意しているためITツール初心者でも安心してはじめられます。
自社の状況と照らし合わせて、上記4つの方法を上手く取り入れれば、リソースが限られている場合でもマーケティングDXを進めることができます。
忘れがちな「経営層の理解」について
最後に1つ重要なポイントをご紹介します。
マーケティングDXを進める際に、忘れがちなのが経営層の理解獲得です。
こちらも株式会社電通による調査の結果ですが、マーケティングDXで成果が出ていると回答した企業のうち、約73%は経営層がコミットメントを行っていると回答しました。
マーケティングDXの最終的な目的は「デジタル技術を活用してマーケティングプロセスやビジネスモデルの変革を行うこと」なので、経営層の理解・コミットメントは重要です。
マーケティングDXの実現には、ツールの導入や人材の確保などへの金銭的な投資が必要となる点でも、経営層の理解は必要不可欠だと言えます。
マーケティングDXの実現によって得られるメリットをしっかり説明し、経営層からの理解を得ることも忘れないようにしましょう。
成功事例の紹介
最後に、マーケティングDXを進めた結果、成果に繋がった事例をご紹介します。
事例1.江崎グリコ株式会社
江崎グリコでは、MAツールを導入し活用を進めた結果、顧客コミュニケーションの質が向上し、Webからの見込み客が2倍以上に増加、売上も約10倍以上の成果へと繋がりました。
MAの導入に合わせてターゲットを練り直し、顧客獲得までのストーリーを構築したことが成功のポイントでした。
デジタル化に伴い、新しいプロセスでの集客方法に活路を見出したマーケティングDXの成功事例の1つです。
事例2.株式会社ビームス
株式会社ビームスは、Webサイト上で実店舗のような顧客体験を生み出すオンライン接客プラットフォームを導入することで、購買率の向上や会員登録の促進、離脱率の低減などを実現しているそうです。
Webサイトの訪問者の行動を自動解析し、顧客の行動に合わせてクーポン発行やキャンペーン告知、チャットサポートなどの最適な接客を進めています。
ビームスのように取り扱い商品が多く、顧客層も幅広いと、一つのサイトに載せる情報が膨大になってしまいます。マーケティングDXを進め、自動で顧客に最適な情報のみを表示できるようにしたことで、コスト削減と売上増加の両方に効果が出た事例です。
事例3.ダイキン工業
ダイキン工業では、2019年2月からの広告キャンペーンにおけるデータ管理、活用を効率化するMAツールを導入した結果、開始から2カ月でCPA(顧客の1アクション毎の単価)を10分の1まで抑えることに成功しました。
これまでは、広告毎に担当者が違ったり、季節毎に評価指標が変わったり、得られるデータ量が多すぎたりと、マーケティングにおけるPDCAサイクルを回すことが困難だったそうです。
MAツールを導入することでデータの統合や分析を効率化し、スピードや費用を押さえた事例の1つでした。
まとめ
マーケティングDXは、ITツールの導入や経営層の理解などが必要となり、一個人のマーケターだけで取り組むには少しスケールの大きいテーマかもしれません。
ですが、市場や消費者ニーズの変化は自社がマーケティングDXに取り組むのを待ってはくれません。
今後のマーケティング活動でより良い成果を上げるためには、少しでも現場のマーケターがマーケティングDXへの理解を深め、少しずつ周囲の関係者の意識を変えていくように働きかけることが重要です。
また、ITツールの種類や用途もどんどん多岐にわたって増え続けているので、自社に適した種類や規模のものから導入を検討してみるのがよいでしょう。
もしSNSキャンペーンや診断コンテンツに関するITツールをお探しの方は、ピクルスにお声がけください。きっとお力になれるはずです。
ピクルス / マーケターのバディ
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