マーケティング企画・戦略策定に役立つ!失敗しないビジネスフレームワークの使い方
更新日:2022.4.15 公開日:2021.9.8
ビジネスフレームワークは、マーケティング施策はもちろん、事業戦略全体を考える際に役立つツールです。3C分析、PEST分析、SWOT分析など有名なフレームワークはたくさんあり、長い歴史があります。
それゆえ「いまさら?」と思う方もいるかもしれませんが、いまだに大手企業のマーケティング部署でも使われていて、賢く使うことができれば効果は絶大です。
効果的にフレームワークを活用するために必要なのが「事前の準備」です。
いきなり作成を始めてしまうと、フレームワークを作ること自体が目的化したり、作ったはいいものの使われずに形骸化したりと、耳の痛いような状況になりかねません。
そこで今回はビジネスフレームワークを使う前に準備しておきたいことについて、メリット・失敗しがちなポイントともにご紹介します。
ビジネスフレームワークとは
まずは「ビジネスフレームワークとは」という基本から説明します。
フレームワークとは簡単にいうと「思考の型」です。
思考の型とは何かを説明するために「3C分析」を例に挙げて見ていきましょう。
3C分析は「顧客・市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの要素で「顧客のニーズを満たしたうえで競合より秀でている自社の強み」を考えるフレームワークです。
自社の強みを考える際によく陥りがちなのは、機能やスペック面のみを競合と比較し、顧客のニーズが置いてけぼりになってしまうことです。
3C分析を用いれば、3つの要素を適切な順番に沿って考えていくだけで、自社の強みを発見することができます。
もちろん3C分析以外にも様々なビジネスフレームワークがあり、主要なものを以下に挙げておきます。
・STP分析(Segmentation、Targeting、Positioningの3点から商品を届けるべき相手を定める)
・4P分析(プロダクト、価格、販売場所、販促手法をまとめる)
・PEST分析(政治、経済、社会、技術から未来の市場変化を予測する)
・SWOT分析(強み、弱み、チャンス、脅威を当てはめて将来のアクションプランを考える)
・ビジネスモデルキャンバス(9つの要素からビジネスモデル全体をまとめる)
・カスタマージャーニーマップ(興味関心~購買までの顧客のストーリーをまとめる)
上記のほかにも競合分析、外部環境分析、顧客・市場分析など、目的に合わせて数多くのビジネスフレームワークがあるので、興味のある方はぜひ調べてみてください。
このようにフレームワークは、自身が知りたいことや解決したい課題に対して、思考を適切かつスムーズに行えるツールです。
では他にどのようなメリットがあるのか、続いて見ていきましょう。
ビジネスフレームワークのメリット
具体的に3つのメリットをご紹介いたします。
1. ロジカルにマーケティング施策を策定できる
1つ目のメリットは「何から始めていいかわからない」という企画・構想段階において、フレームワークを活用することでロジカルにマーケティング施策を策定することができる点です。
特にマーケティング組織を新しく立ち上げノウハウが溜まってない場合や今まで実施したことがない施策を行う場合など、施策の企画段階で苦労することもあるでしょう。
ビジネスフレームワークには「ビジネスの教科書として考えるべき基本的な項目」が記載されています。そのため知見がない分野でも、ロジカルに企画を策定できるのが魅力です。
2. チームメンバーに共有しやすい
作成したフレームワークを「図」としてドキュメントに残すことで、外部のパートナーを含めたチーム全体で情報共有しやすいのもメリットの1つです。
マーケティングの施策を実行する際に失敗しがちな理由に「ミスコミュニケーション」があります。
「口頭で伝えたつもりが、相手が理解し切れていなかった…」
「文章で共有したが細かい情報が多すぎて、大事な施策の方向性が伝わっていない…」
など実際に経験したことはありませんでしょうか?
こうしたミスコミュニケーションの原因として多いのが
・施策の方向性とゴール(目的)をドキュメント化せずに口頭だけで伝える
・ドキュメントが長ったらしい文章になり、肝心の要素が伝わらない
などです。
フレームワークの場合は、簡易的な図として内容を共有できるので、施策の方向性やゴールが相手に伝わりやすくなります。
3. 短い時間でシンプルかつ分かりやすいプレゼン資料を作れる
分かりやすいプレゼン資料を短時間で作りたいときにもフレームワークは役立ちます。
新たなマーケティング施策を実行する際には上長や経営陣に向けてプレゼンをする機会もあるかと思います。
ただプレゼン資料を作るのは意外と時間がかかりますよね?
こうした社内折衝のための資料に大切なリソースを割くのはもったいないので、出来るだけ短い時間で分かりやすい資料を作るために活用してほしいのがフレームワークです。
フレームワークであればシンプルに図式化することが可能で、要素間の関係も含めて伝わりやすいプレゼン資料を作ることができます。
フレームワーク活用で失敗しがちなポイント
このようにさまざまな魅力があるフレームワークですが、あらかじめ使い方を知っておかなければ失敗することもあります。
では次に失敗しがちなポイントも3つ見ていきましょう。
1. フレームワークの正しい使い方を理解していない
1つ目は「フレームワークの正しい使い方を理解していない」ということです。
例えば先述した「3C分析」は「市場のニーズにフィットしたうえで競合と比べて自社が秀でている部分」を可視化するためのツールです。
そのため要素を埋める順番は、一般的に「市場」→「競合」→「自社」となります。
しかし使い方が分からないと、「とりあえず顧客・競合・自社の要素を埋めればよい」と考えてしまいがちです。
すると最終的なアウトプットも変わってしまい、本来の効果を発揮できないといったデメリットが生まれてしまうので注意しましょう。
2. フレームワークを作って満足してしまう
「作って満足してしまうこと」もよくある失敗パターンです。
施策の方向性を決めるためにフレームワークを組んでいたのに、いつの間にか作成することが目的にすり替わってしまう、といった「手段の目的化」はマーケターの方であれば耳の痛い話ではないでしょうか?
先ほどの3C分析も自社の強みを明確にすることを目的にするフレームワークですが、その見出した強みをもとにWebページを改修したり、サービス資料をブラッシュアップしたりと施策に活かしてこそ初めて価値を発揮します。
「3C分析をもとに考える」こと自体が目的にならないように気を付けましょう。
3. 主観が入ることで客観的なデータを捻じ曲げてしまう
「主観が混ざってバイアス(偏見)だらけのフレームワークになってしまうこと」も代表的な失敗パターンの1つです。
例えば、施策を企画する際の裏付けとして「カスタムリサーチ」等を行い、客観的なデータを取得することがあると思います。
そうしたリサーチを行う際には基本的に何らかの仮説を立てて行うことがほとんどですが、その「こうなってほしい!」という仮説とリサーチ結果が大きく異なった際に、「これはデータがおかしい。我々の仮説のほうが正しいに決まっている」と思い込んでしまうケースがあるのです。
マーケターの方になじみ深い「カスタマージャーニーマップ」でもう少し具体的に説明しましょう。
カスタマージャーニーマップとは顧客が自社のプロダクト・サービスを認知し、興味を抱き、購買に至るまでのアクションをフローでまとめるフレームワークです。
作成したカスタマージャーニーマップをもとに、「どのフェーズで、どんな理由があるから顧客が離脱しているのか」を市場調査(アンケートやインタビューなど)で客観的に把握することで、当てずっぽうではない施策を企画することができます。
例えば仮説の段階では「興味」から「情報収集・比較検討」に移る際のランディングページ(LP)のクリエイティブに問題があるだろうと考えていたものの、蓋を開けてみると価格設定や機能など他社との比較検討フェーズに問題があったとします。
こうした場合に、「今回インタビューした方がたまたまそう思っていただけかもしれない。だからLPのクリエイティブの改善をまずは実施しよう」と判断するのが、客観的なデータを捻じ曲げてしまうということです。
このように主観が入ってしまうと、「効果の薄い施策を実行してしまう」「本来解決すべき課題が後回しになる」といった失敗につながり、フレームワークが意味をなさなくなってしまいます。
ビジネスフレームワークを成功させるために準備すべきこと
では上記の失敗をしないためにどのような準備をすべきなのでしょうか?
具体的なポイントをご紹介します
フレームワークを作る目的を最初にはっきりさせる
「とりあえず作ってみるか」ではなく「自社の課題に合わせた最適なマーケティング施策を選定する」といったフレームワークを作る目的を事前に設定しましょう。
そのうえで3C分析であれば「顧客の行動・自社の強み・競合」の分析を行います。
目的をはっきりさせることで「作って満足する」という失敗を防げますし、後で施策がブレることもありません。もしブレそうになった際にも、当初の考えに立ち返ることが可能です。
作成したフレームワークは必ずチーム内で共有する
フレームワークを作った後に、チーム内で共有会を行い「この後どう使っていくか」を議論することもオススメです。
「フレームワークを作った目的」や「フレームワークの役割」など前提をしっかりと説明したうえで、作成したフレームワークを解説し、今後どのように活用していくのかを話し合います。
途中お伝えしたようにフレームワークを作成しただけでは本来の効果を発揮しきれません。
今後フレームワークを軸に戦略を練っていくために、チーム内で認識を合わせておくことが必要です。
客観的なデータをしっかり収集しておく
主観ではなく客観的なデータをもとに作成するのも欠かせません。
現在ではリスティング広告、SNS広告、オーガニック流入などあらゆる集客ルートから顧客のデータを取得できます。
顧客がどんなクリエイティブに興味を持ち、クリックし、購買につながったのか、またターゲットになりうる年齢、性別、職業、居住地などの顧客像が見えてきます。
またアンケートやインタビューなどの手法では、より深い情報まで知ることが可能です。
こうした様々な手法を活用して、主観ではなく客観的なデータに基づいたフレームワークを作ることで、さらに効果を発揮させることができます。
その際には失敗例でお伝えした「バイアス」には注意し、もしデータが怪しいと感じた場合には一人で判断するのではなく、複数人でデータの考察を行ったり、データの母数を増やして再検証したりと、安易に結果を捻じ曲げないように気を付けてください。
まとめ:ビジネスフレームワークは改善し続けること重要
フレームワークを使ってマーケティング施策を練る際に、上記のような事前準備をすることで成功する確率が高まります。
ただし作成したフレームワークに沿って施策を企画し、目標を一度達成できたからといって、次回も同じ成果が得られるとは限りません。
逆に一度失敗したからフレームワークを使っても意味がない、と結論付けるのも時期尚早です。
現在のビジネス環境は変化が激しく、マーケティング施策も常に改善が求められています。そのため、常に顧客の声を収集しながらフレームワーク自体も変えていきつつ、ブラッシュアップする必要があるでしょう。
冷静に顧客の求めていることに合わせてチューニングを繰り返せば、フレームワークは長期的に活用することができるので、ぜひトライしてみてください!
ピクルス / マーケターのバディ
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