Webデザイナーがマーケティング視点を持つべき本当の理由と視点を養う4つの手順
ピクルスで5年間Webデザインに携わる中で、マーケティング視点の必要性をとても強く感じる場面が多くありました。この記事ではWebデザイナーにとってマーケティング視点が重要な理由と視点を養う4つの手順をピクルスの実体験も交えてご説明します。
更新日:2022.7.23 公開日:2022.7.14
はじめまして。ピクルスでクリエイティブディレクターをしてる安藤と申します。
マーケティング支援事業部でクライアントワークでのヒアリング、プランニング、ディレクション、アートディレクション、デザインを行っています。
この記事では、5年前にWebデザイン初心者としてピクルスに入社してから、「マーケティング視点」の重要性に気づき、その視点が養われた手順をご紹介します。
Webデザイナーのキャリアアップはなかなか難しいと言われている中、Webデザイナーの将来に不安を抱いてる方に希望を持ってもらえることを目指して書きました。
マーケティング視点とは?
昨今、様々な場面で「マーケティング視点が重要」という話を耳にします。もはやマーケティング視点はマーケターだけが持てば良いものでは無くなっています。
皆さまはマーケティング視点と聞いて、どんな意味を思い浮かべますか?
ピクルスではマーケティング視点を「顧客理解」と「自社理解」を深めることであると定義しています。施策の戦略に関わる以上、この視点はヒアリング、プランニングを担当するマーケターだけでなく、デザイナー、エンジニアまで浸透している必要があります。
ピクルスはBtoB企業ですが、同時にBtoBtoCでもあるので、クライアントとエンドユーザーどちらの理解も深めなくてはいけません。また、ピクルスが提供できる価値を自社内で理解していなければ、クライアントやエンドユーザーに役立つ施策を提供することはできません。
こうした背景もあり、ピクルスでは全職域でマーケティング視点を持った方が成果が出やすいと考える文化が生まれ、今も根づいています。
実際に施策に携わる中で、マーケティング視点を持つことの必要性をとても強く感じる場面が多くありました。この記事では、なぜWebデザイナーにとってマーケティング視点が重要なのかについて、実体験も交えてご説明いたします。
Webデザイナーの業務内容
まずはWebデザイナーの主な業務内容についておさらいしましょう。
・PC/SP(スマートフォン)におけるWebサイトのデザイン制作
・TwitterやInstagramのキャンペーン投稿用画像や動画の制作
・バナー広告などのデザイン制作
ピクルスでは、プランニング、ディレクション、アートディレクションをWebデザイナーが担うことが多いので、上記以外にも以下業務をWebデザイナーが対応することもあります。
・商談でのヒアリング
・Webプロモーション全般のプランニングへのアイデア出し
・ブランドを体現するロゴタイプ、ロゴマークの制作
・デザインイメージの方針となるトンマナ制作
一口にWebデザイナーと言っても、働く場所によって、デザイン実務だけを任される場合や上流工程から関わる場合もあります。ここからは働く場所を軸に、2つのケースに分けて説明します。
・インハウスデザイナーの場合
・制作会社のデザイナーの場合
インハウスデザイナーの場合
インハウスデザイナーとは、主に制作以外をメインとする事業会社で業務を行うデザイナーのことです。
外部リソースを使わずに社内で完結するので、コミュニケーションコストが少なく、迅速に対応できるのが特徴です。自社ブランディングが主な目的となるので、点ではなく線でデザイン業務に携わることができます。
そのため企業のミッション・ビジョンや、時にはUSP(Unique Selling Proposition)と呼ばれる競合他社に無い自社の強みの創出など、上流工程の業務にも関与可能です。
USPについては以下のブログで解説してるのでぜひお読みください。
私自身もピクルスにて「診断クラウド ヨミトル」という新サービスを公開するにあたり、ロゴやサイトのブランディングだけでなく、市場分析や打ち出すべき強みの精査から携わりました。
診断コンテンツ作成ツール「ヨミトル」|事例・自社サイト設置・データ活用
プロダクトを0から作るということは同時に「勝てる市場」を設計することも意味しているので、そういった場面でもマーケティング視点は求められます。
制作会社のデザイナーの場合
外部企業からの依頼でデザイン業務を行うのが制作会社のデザイナーです。
クライアントの事業課題を解決することが最終ゴールとなります。顧客のニーズを適切に把握したうえでデザインに落とし込むためにはマーケティング視点が重要です。
ピクルスでは「バディとして同じ目線で取り組みます。」という言葉のもと、クライアントの文化やこれまでのプロモーション文脈を理解することが最初の仕事となります。
Webプロモーションはクライアントの事業だけでなく、競合商材や市場などを多角的に理解し企画に落とし込む必要があるので、それらを踏まえて複合的に理解する必要があります。
また、クライアントの戦略を理解できると、求められていることから大きくずれて提案してしまうことを減らし、スピーディに進めることができます。
こうした様々な理由から「この人と話してるとつい話し込んでしまう」と思ってもらえるようなコミュニケーション能力やヒアリング能力、そしてイレギュラーな状況にも対処できる柔軟性があるとクライアントからとても喜ばれます。
また、企業の文化やブランドとは別に、ゴルフ用品やコスメ、スナック菓子など商材によってもターゲットが大きく異なります。ターゲットが変われば、全く違うトンマナが求められるので、得意なデザインジャンルだけでなく様々なトーンのデザインが作れることが必須です。
一方、外部企業としてブランディングやマーケティングに貢献する性質上、外部だからこそ気付けるクライアントの魅力や近視眼的になっているマーケティングを冷静な目で判断し伝えることができます。このような経験ができるのは、Webマーケ支援、Web制作会社で働くWebデザイナーのやりがいへと繋がっていることでしょう。
クライアント目線で施策を考える癖がつくと、自分の一言で「気づかなかったですが、それめちゃくちゃ名案ですね!」とクライアントからお喜びいただけることも多いです。
ついつい陥りがちな近視眼的マーケティングについては、別記事で紹介してるのでこちらをぜひお読みください。
クライアントから求められることとは?
ここまでの内容でWebデザイナーの仕事についてはご理解いただけましたでしょうか?
では次にクライアント(社内外問わず)がWebデザイナーに求めていることについて考えていきましょう。
クライアントがWebデザイナーに求めていることは何なのでしょうか?
ご自身で「Webサイトを100万円でWebデザイナーに依頼する」状況を想像すると分かりやすいかもしれません。
以下のようなことが、依頼先への不安として挙がるのではないでしょうか。
・デザインのクオリティは充分なのか?
・自分が希望してるイメージを形にしてもらえるのか?
・目的に合わせた成果が本当に得られるのか?
上記のようなクライアントの不安を払拭するには3つの能力が求められます。
・デザインのクオリティは充分なのか? → デザインスキル
・自分が希望してるイメージを形にしてもらえるのか? → コミュニケーションスキル
・目的に合わせた成果が本当に得られるのか? → マーケティング視点
デザイナーといえばデザインスキルやコミュニケーションスキルが必要になるイメージがあるかと思いますが、クライアントが求めている成果を本当に達成するためには実は上流に関わるマーケティング視点が最重要項目となるのです。
Webデザイナーがマーケティング視点を養う4つの手順
では、セールスでもマーケターでもないWebデザイナーはどうやってマーケティング視点を養えばよいのでしょうか?
ここからは私自身も行っているマーケティング視点を養うための手順をご紹介します。インハウスデザイナーの方はクライアントを社内でデザイン依頼をしてきた方に置き換えて読んでみてください。
手順1. クライアントにヒアリングする
まずは、最初の商談にてクライアントに「施策の目的」「施策のターゲット」をヒアリングします。
この2つが明確でないと、KGIとして定めたTwitterフォロワー数やリード獲得数を達成できたとしても、事業の課題解決に至らないことがあるので、この2項目は明確に定める必要があります。
デザイナーが商談に同席してヒアリングする文化がない会社であれば、デザイナーも同席してヒアリングさせてほしいと提案をするのもありかもしれません。
「マーケティング課題って何?」「マーケティング課題の中でどれを解消すべきか悩んでる」という方には以下の記事を読んでいただき、施策の目的を明確にしてもらうこともあります。
手順2. 企業、商材、ユーザーの悩みについて深堀りする
ヒアリング内容をもとにターゲットの悩みや課題、考えてることの仮説を立てるために調査をします。
・YouTubeでユーザーが見てそうな動画を見る
・Twitter、Instagram、知恵袋などで企業名、商材名を検索
・Amazon、楽天などで商材の口コミを熟読
・企業、商材に関連した言葉を「◯◯あるある」という形式で検索
商材を実際に購入して自分もエンドユーザーの一人になることも、購入時の検討事項や比較検討の対象がわかるのでとても効果的です。
実際に自分でクライアントの商材を購入すると、何と比べるのか(競合会社)や購入障壁などを、よりシビアに捉えることができます。
商材を購入する以外にも、会社のメンバーや友人、両親など身近な人でターゲットに該当する人がいればヒアリングを行うこともおすすめです。
初対面の人に聞くよりも心を開いてる分、インサイトに近い意見を聞くことができます。
手順3. ユーザーストーリーの仮説を立てる
ヒアリングと調査をもとに、施策に関わるであろうターゲットを想定して課題や考えていることの仮説を立てます。
ピクルスでは以下のように、購買フェーズごとに3タイプのターゲットを想定し、今回の施策ではどの層に何を考えてもらうのかを設計しています。
購買フェーズの理解については別記事で解説していますので、ぜひご覧ください。私も実業務で悩んだ際はこちらの記事を再読しています。
ターゲット属性を明確にした後は、診断やブランドサイトなどに訪れてからコンバージョンするまでのユーザーストーリーを設計します。
診断コンテンツにて店舗誘導をゴールとする場合は以下のようなユーザーストーリーを設計することもあります。
手順4. クライアントに再度ヒアリングする
ここまでの3ステップでまとめた企画書を元に、認識齟齬の回避や施策の方向性についての確認を再度ヒアリングします。
この工程を経た上でデザインするのか、企画概要やワイヤーフレームが記載されてる構成書の情報のみでデザインするのかでは、「顧客理解」の解像度がまるで変わってきます。
クライアントやターゲットの状況が理解できていると、見当違いなトンマナ提案が減り、的を得たトンマナ提案に繋げることが出来ます。
そういった意味でも、ご紹介した4つの手順を踏んだうえでデザインしたほうが、より高い成果を創出できると考えています。
まとめ
上記のようなマーケティング視点に基づいたコミュニケーション設計は本来セールスやマーケターの仕事かもしれません。ですが、ピクルスではWebデザイナーが行うことで、戦略の一貫性を保ち、成果に繋げています。
Webデザイナーにとっても、ここまで理解が深まった状態でデザインすることで、デザインの方向性や成否の判断をマーケティング視点で行えます。
また、上流視点での制作の経験値が蓄積されるので、Webデザイナーとしての市場価値もぐんと高まるはずです。
上記の理由から、ピクルスでは、デザイナーはデザイン業務だけ、エンジニアはエンジニア業務だけという職域での切り分けではなく、どの職域でもマーケティング視点を持って制作に挑むという文化が生まれました。
Webデザイナーがマーケティングを学ぶと活躍の場が広がる!
前述の通り、Webデザイナーとしてデザイン制作のみを担当していた頃から、上流工程をコンサルティングする施策を担当するようになる中で、
私自身、出来ることが増える感触や、相乗効果で自分のスキルが上がっていく実感を確かに感じました。
「デザインスキルはあるのにマーケティングを学んでいないために、事業の成果に思うように貢献できない」のは非常にもったいないことです。
この機会にマーケティングを学び始めたり、マーケティング思考が身に付く環境であるピクルスで一緒にマーケティングを実践してみるのはいかがですか?
少しでもご興味がある方は採用ページをご覧いただき、ぜひ採用面談でお話しましょう!
また、ピクルスのブログでは、マーケティングに関する記事を多数公開中です。他の記事でも興味のあるテーマからマーケティングについて知っていただき、日頃の業務に役立てていただけたら嬉しいです。
ピクルス / マーケターのバディ
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