
アンバサダーマーケティングで集客強化!手順やポイント、成功している企業事例をご紹介
時代が変わり、ユーザーは企業の広告よりも身近な人の口コミやオススメを参考に商品・サービスを購入するようになっています。そこで企業がユーザーを巻き込み集客に繋げる手法の1つとして、アンバサダーマーケティングの手順やポイント、企業事例をご紹介します。
公開日:2022.7.20
「なんとなくSNSを見ていたら、フォローしている人がある商品をオススメしており、気になってつい買ってしまった…」
なんて経験はありませんか?
心理学的には「ウィンザー効果」と呼ばれ、企業が直接売り込むよりも第三者を介した方が信頼性が増して購買に繋がりやすいというものです。
今では、一人一台といって過言ではないほどスマートフォンが普及しており、SNSを使って商品の検索をしたり、ユーザーの口コミを閲覧したりすることが当たり前になりました。
そこで知っておきたいのが、アンバサダーマーケティングと呼ばれる手法です。
アンバサダーマーケティングとは、企業や商品、サービスのファンが主体となって情報を発信することで他ユーザーの購買行動を促すマーケティング手法です。
有名なところでいうと、「ネスカフェアンバサダー」という言葉を一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。最近では、作業服、安全靴などを取り扱うワークマンでも飛躍の要因としてアンバサダーマーケティングが取り上げられています。
本記事では、アンバサダーマーケティングの基本や、実施の手順とポイントをご紹介します。
アンバサダーマーケティングとは?
そもそもアンバサダーとは「大使」や「代表」という意味の言葉です。
そして、アンバサダーマーケティングとは、商品・サービスのPRや宣伝活動をファンが企業の代わりに行うマーケティング手法のことを言います。
例えば「観光大使」という言葉をニュースなどで目にしますよね。よく芸能人の方が観光大使に就任していますが、その地域の代表者として地域の魅力を外部に宣伝する役割を担っています。
アンバサダーマーケティングでも同様に、企業が選んだ人をアンバサダーとして任命し、選ばれたアンバサダーが企業の代わりに宣伝を進めるという流れです。
冒頭でも少しご紹介しましたが、アンバサダーマーケティングが注目を集める理由を改めてご説明します。
アンバサダーマーケティングが注目を集める理由
アンバサダーマーケティングが注目されるようになった大きな要因の1つに、企業が配信する広告の有効性の低下が挙げられます。
従来であれば、企業が打ち出す広告で商品を知り、購入するといった購買プロセスが主流でした。
しかしスマートフォンの普及に伴い、Web広告が検索エンジンやアプリなど至るところで配信されるようになった結果、スマホユーザーが広告慣れして、広告の有効性が薄れています。
実際、一昔前からWeb広告に携わっている方は、「以前よりWeb広告のCV率が下がってきた」と感じているかもしれません。マーケティング活動の主流であるWeb広告の成果が出しづらくなる中で、新たな手段を模索する企業が増えてきました。
そこで、登場したのがアンバサダーマーケティングです。
アンバサダーをお願いするのは、もともと商品やサービスを好んで使っているユーザーなのでリアリティのある発信ができます。企業が広告コピーで打ち出す商品の魅力やメリットよりも、アンバサダーが語る商品の感想やレビューの方が信頼できると考えるユーザーが多いのもアンバサダーマーケティング注目の後押しとなっています。
SNSやブログを通じて「共感」や「親近感」を与えつつ、商品やサービスについて知ってもらうには、アンバサダーマーケティングは有力な手法です。
アンバサダーマーケティングのメリット
この章では、アンバサダーマーケティングの主なメリットを2つ解説します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1. 信頼度の高い宣伝活動を行える
先ほどもお伝えしたように、企業主体の宣伝活動はユーザーに受け入れられにくくなっています。
一方、アンバサダーマーケティングでは、自身もユーザーであるアンバサダーが主体となって宣伝活動を進めるため、ユーザーからの抵抗感が低いだけでなく、企業の情報発信では届きにくい層にも認知を拡大することができます。
アンバサダーは、商品のリアルな使用感や困っていた悩みが解決できた嬉しさなどを発信するため、同じような興味や悩みを持ったユーザーに共感されやすいです。ユーザーの日常に沿った信頼度の高い宣伝活動を行えるのは、アンバサダーマーケティングの大きなメリットです。
メリット2. ユーザーのリアルな声を集められる
アンバサダーマーケティングでは、商品・サービスを広めてもらうだけではなく、アンバサダーの意見を参考に商品の開発や改良を進めることも可能です。
マーケティングにおいて顧客視点は極めて重要でありつつも、ユーザーの声を集めることに苦労する企業は少なくありません。
実際、商品アンケートを実施したとしても、ユーザーの商品に対する熱量によって結果に大きなばらつきが出てしまい、あまり参考にならないケースもあります。
一方で、アンバサダー限定でアンケートを実施すれば、熱量があるユーザーから積極的に意見をもらうことができます。その意見を活かして商品・サービスをさらに良いものにするのはもちろん、販促企画をユーザー目線で考えることもできるでしょう。
アンバサダーからユーザーのリアルな声を集められるのも大きなメリットと言えます。
アンバサダーマーケティングの実施手順
ここからは実際にアンバサダーマーケティングを進める際の3つの手順をご説明します。

手順1. アンバサダーの募集、選考
まずは、協力してもらうアンバサダーを募集、選考します。
募集方法には様々な方法がありますが、以下が代表的な方法です。
・SNSで候補者を探す
・Webサイトで募集する
・自社で抱えているリストや会員などから探す
選考におけるポイントは後述します。
手順2. 商品の提供、イベントの企画
アンバサダーの選考が済んだら、次は商品の提供、イベントの実施を進めます。
例えば、来年発売予定の新商品に対してのレビューやPRをお願いしたいのであれば、実際にその新商品のサンプルを提供して使用してもらいます。
また、新商品を開発したいのであれば、交流会などの企画を行ってアンバサダー目線の意見を取り入れながら商品開発を進めていきます。
手順3. アンバサダーによるPR活動
そして、最後の手順がアンバサダーによるPR活動です。
依頼時には、アンバサダーが紹介しやすいように条件を決めておくとスムーズです。
例えば、
・Instagramにて、自社アカウントのタグ付け投稿を週に1回してもらう
・ストーリーズ機能でアンバサダーがオススメしたい商品を月に2回紹介してもらう
など、事前の打ち合わせで紹介の方法を決めておけば、
「紹介の投稿が少なすぎる」
「予定していたようなPRができていない」
といったトラブルを未然に防ぐことができます。
また、企業側がアンバサダーの投稿内容をチェックする際は、素直な意見や感想を発信してくれているかを確認しましょう。
ただ単に商品のメリットを伝えるだけではなく、どんな人にはオススメできて、どんな人には向かないかなど、実際に使用した人だからこそ伝えられる内容になっているかが大切です。
使用した人だけが伝えられる内容になっていない場合は、アンバサダーに適宜フィードバックしましょう。しかし、商品やサービスの評価についてはあくまでアンバサダーに委ねる点には注意が必要です。もし、商品やサービスの良くない部分の発信があれば、真摯に受け止めて改善を進めましょう。
アンバサダーを選ぶ基準について
上記の手順の中で、一番気になるポイントは手順1のアンバサダーの選び方や基準ではないでしょうか。
商品への愛着という観点だけで選んでしまうと、思うような成果は得られません。そこで、アンバサダーを選ぶ際の選考基準となるポイントを2つご紹介します。
選考ポイント1. 自社のイメージを損ねないか、イメージとマッチした投稿をしているか
アンバサダーの発信によって自社のイメージに傷が付かないか心配な方もいるはずです。
未然にトラブルを防ぐためにも、候補者の過去の投稿をさかのぼり、企業イメージに関わるような投稿はないか確認しておきましょう。
また、自社が持つブランドイメージと候補者の世界観がかみ合っていなければ、フォロワーに商品の良さが伝わりにくくなってしまいます。
例えば、「スタイリッシュで無駄のない空間」がコンセプトの都心のホテルでアンバサダーマーケティングを行うとしましょう。就任したアンバサダーがガヤガヤした大衆居酒屋が好きで、その居酒屋の投稿を頻繁にしていたとしたら、ホテルの魅力は伝わりにくくなりますよね。
だからこそ、候補者の普段の投稿を確認し、自社のブランドイメージとマッチした投稿かどうかの確認が必要です。
選考ポイント2. SNSアカウントのフォロワー数、エンゲージメント率、投稿頻度は十分か
SNSを通じて宣伝をする場合には、やはりフォロワー数は無視できない数字です。
インフルエンサーと呼ばれる多大なフォロワーを抱えるユーザーである必要はないものの、施策の予算や期待度に見合ったフォロワー数がいるかは確認しておくべきです。
また、どんなにフォロワーが多くてもエンゲージメントが少なければ効果はありません。日ごろの投稿にどれだけフォロワーがリアクションしているのかも大事なポイントです。
そして、最後に投稿頻度も確認しておきましょう。今後自社の商品やサービスをどれくらいの頻度で投稿してほしいのか?を想定したうえで、あまりにも投稿頻度が少ない候補者は避けるのが賢明です。
アンバサダーマーケティングを成功している企業事例
最後に、アンバサダーマーケティングで成果をあげている企業の事例をご紹介します。
事例1. ネスカフェ
1つ目の事例は「ネスカフェアンバサダー」という言葉で有名なネスカフェです。
実は2014年5月に日本マーケティング大賞を受賞しています。
オリジナルマシンの開発とアンバサダーマーケティングによって、インスタントコーヒーをオフィスで展開させた戦略性や150万台を超えるマシンの販売実績などが評価されました。
Webからアンバサダーに登録するとコーヒーマシンがアンバサダーのいるオフィスに届くので、職場にネスカフェアンバサダーが一人でもいれば同じオフィスの人もコーヒーマシンを利用できるようになります。
アンバサダーを起点にコーヒーのブレンドなどを調整することで同じオフィスの人にコーヒーの味わいや商品の名前が認知されていきます。
多くのアンバサダーを抱えており、幅広い層から認知を獲得できている、まさにアンバサダーマーケティングの代名詞とも言える事例です。
事例2. ワークマン
2つ目は、アンバサダーマーケティングで飛躍を遂げたと、多くの記事や本で語られている株式会社ワークマンです。
ワークマンでは、ブログやYouTubeなどWeb上でワークマンに関する情報発信をしてくれるアンバサダーを30人ほど抱えています。
ワークマンのアンバサダーになると、事前に新製品を試着出来たり、新製品の発表会に招待されたりと、多くの特典があります。また、新製品の開発に携わって、意見やアンケートなどでのフィードバックをすることもあります。
最近では、従来の主力商品である作業着だけではなく、女性や男性が普段使いできる衣服やキャンプ用品などでも大きな反響を得ています。
その中にはアンバサダーの功績によるものも多く、中にはアンバサダーの意見を丸呑みにしたら、以前は3000着しか売れなかった商品が10万着売れるようになったというケースもあります。
アンバサダーと良い関係を築き、アンバサダーから学ぶことで、企業や商品が生まれ変わることを教えてくれる事例です。
まとめ
Web広告など企業主体の売り込みが受け入れられづらくなりつつある今、アンバサダーマーケティングを取り入れようとする企業は増えています。
企業の代わりにPR活動を進めてくれる上に、ユーザー目線でのフィードバックまで得られるアンバサダーは企業にとっても貴重な存在です。
ぜひこの機会に、自社のアンバサダーを探してみてはいかがでしょうか。
タグ: BtoCマーケティング

ピクルス / マーケターのバディ
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