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3種類の「価格戦略」を事例つきで解説|最適な価格設定でマーケティングを有利に!

マーケティングにおいては、絶妙な価格設定が欠かせません。安くするだけでなく、あえて高価にするなど、広い視点での判断が必要となります。この記事では「売れる価格の決め方」がわかる価格戦略を3種類、メリット・デメリット・事例交えてご紹介します。

更新日:2024/04/12

マーケター診断(リード獲得用)

皆さまの扱う商品は、どうやって価格を決めていますか。

商品開発のなかでも、価格設定は、悩みどころだと思います。

商品開発とは関わりがないマーケターの方も「価格」のことは日々意識しているはずです。

・競合商品より100円安い、高い
・2,000円? それとも 1,980円?
・あの商品、なんであんなに安いの?

よく売れて、よく儲かる商品には、裏があります。
それは競合企業を打倒しようと練られた「価格戦略」です。

価格戦略には多くの手法がありますが、今回は、3つの競争戦略をご紹介します。

3つの競争戦略

これらはマイケル・ポーターというアメリカの経済学者が提唱した競争戦略です。
企業規模や、商品の性質に合わせて、自在に使い分けていきましょう。

価格戦略を習得し、さらに売れる・もっと儲かるマーケティングにお役立てください。

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大企業の得意技「コストリーダーシップ戦略」

コストリーダーシップ戦略は、大企業向けの戦略です。
大量生産できること・資金が多いことが前提となります。

大量生産によるスケールメリットで、とにかく安くする戦略です。

製造原価をいかに抑えるかが重要です。

・生産効率の向上
・設備投資
・広告の最適化
・流通の最適化
・人件費カット

そのためには上記のように、あらゆる分野で工夫が求められます。
ただのパワープレイに見えますが、奥深い戦略です。

製造原価を下げたあとも、いくつか選択肢があります。

・原価を安くした分、価格も下げる→シェアを増やす
・原価を安くしても価格はそのまま→利益を増やす

他を圧倒する安さで販売すれば、競合企業を撤退させることも、不可能ではありません。
大企業向けの戦略ですが、価格で有利をとれるのは、やはり強力な戦略ですね。

<コストリーダーシップ戦略のメリット>
・価格が安くなるため、購入してもらいやすい
・製造コストを抑えることで、利益を確保しやすい
・シェアを伸ばしやすい

<コストリーダーシップ戦略のデメリット>
・激しい価格競争が起きることがある
・生産能力を高めるために、投資が必要

<コストリーダーシップ戦略を考えるときのポイント>
・製造コスト、販売コストをできるだけ細かく把握する
・同じ人件費、固定費のなかで、生産量を増やす
・原材料やノウハウ、設備を転用できる製品を扱う

コストリーダーシップ戦略の事例

アパレルブランド「ユニクロ」はコストリーダーシップ戦略の代表的事例です。

「安くて高品質」なイメージを持たれる方も多いでしょう。
それはまさに、コストリーダーシップ戦略です。

委託ではありますがアジア各所に工場をもち、日本よりも少ない人件費で、大量生産する基盤を整えています。

引用元:https://www.fastretailing.com/jp/group/strategy/uniqlobusiness.html

工場こそ委託ですが、それ以外はほぼ自社で内製しています。企画、プロモーションや販売まで自社でやるため、中間マージンも発生しないのです。(通常、アパレルメーカーが服をつくり、それを専門店が仕入れて売るため、中間マージンが生まれます)

「じゃあマネしよう!」とはならず、ユニクロがとる戦略は簡単ではありません。資金ももちろんですが、自社で作るため、売れ残りのリスクが高まります。ユニクロは、販売量を細かく把握する仕組みをつくり、週次で生産数を調節するなどして、やりくりしているわけです。

パワープレイにみえて、内容はとても繊細なのです。

マーケター診断(リード獲得用)

価格競争を抜け出す「差別化戦略」

差別化戦略は、高くても買われる商品を作る戦略です。

具体的には「業界にない特異な商品」をつくることで、価格競争から抜け出してしまいます。

「この商品が欲しいのだけど、すごく高い。しかし類似品がないから、これを買うしかない……」なんてことはないでしょうか。それこそまさに、差別化戦略です。

1つ注意点として、マイケル・ポーターが提唱する「差別化」は、ユーザーが感じる価値を高める=商品価格を上げることをゴールとしています。

「同じ価格のまま、強みを変える」戦略ではありません。(当然それもありですが、マイケルポーターの差別化戦略からは外れます)

その一方でデメリットもあるため注意が必要です。

特異な商品を開発するのは、人件費や開発コストがかかります。特異であるために、大衆受けしにくくなることも考えられます。

とはいえ、差別化戦略をとるのに大規模な投資は必要ありません。

中小企業やベンチャー企業にもおすすめです。
コストリーダーシップ戦略への、良い対抗策となるでしょう。

<差別化戦略のメリット>
・価格競争を抜け出せる
・高価格で販売できれば、利益も増える

<差別化戦略のデメリット>
・価格があがる
・違いを生むために開発コストがかさむ
・大衆受けしにくくなる可能性がある

<差別化戦略を考えるときのポイント>
・以下の項目を参考に差別化の源泉を探す
 ・ブランド、イメージ
 ・機能
 ・デザイン
 ・製造場所
 ・製造方法
 ・サービス
 ・販売チャネル
 ・バリエーション etc…

差別化戦略の事例

マクドナルドと比べ「モスバーガー」は、ちょっと高いですよね。

これはモスバーガーの差別化戦略です。

具体的には、こんな戦略がとられています。

・ライスバーガーなど他にはない商品を作る
・国産食材にこだわり健康的なイメージを押し出す
・ご当地バーガーを定期的に作って、地元との交流をはかる

他にも、肉をつかわず大豆を肉のように加工した「ソイパティ」や、パンを使わずレタスで挟んだ「モスの菜摘(なつみ)」などもあります。

多様なニーズに対応できる幅の広さも、モスバーガーの「業界にない特異な商品」です。

このような差別化戦略をもとに、モスバーガーはハンバーガー業界2位に君臨し続けています。

ニッチを攻める「集中戦略」

ターゲットを絞って売るのが、集中戦略です。

絞り方は様々ありますが、年齢、地域、性別、ニーズ、職業……などで絞られることが多いです。

ターゲットを絞って投資すれば、他社と比べてより効率よく事業を進められます。

集中戦略にも、集中したターゲットが縮小、あるいは、なくなってしまう可能性があるというデメリットがあります。

……と書きましたが、これは皆さんご存じかと思います。

それもそのはず、マイケル・ポーターの著書「競争の戦略」が刊行されたのは1980年で、40年以上前です。マーケティングが浸透した今では、集中戦略は当たり前となりました。

現実問題、コストリーダーシップ戦略でも、差別化戦略でも、その戦略に集中しなければなりません。

陳腐化した戦略ですが、とても大切な考え方であることに違いはありません。

<集中戦略のメリット>
・投資先を絞って、効率的にリターンを得られる
・競合企業よりも1つの分野に特化し、有利なポジションを取れる

<集中戦略のデメリット>
・環境や、市場の変化による影響が大きい
・競合企業の参入でシェアを奪われる可能性がある

<集中戦略を考えるときのポイント>
・ニッチな市場を狙う
・競合他社の参入前に、ブランドを確立する
・代替品や競合企業の動向にアンテナを張る

集中戦略の事例

細かい説明は省略して、代表的な事例をご紹介します。

・ケンタッキーフライドチキン
 フライドチキンに集中

・ポルシェ
 スポーツカーに集中

・ダイハツ
 小型車に集中

集中戦略は珍しい事例ではありません。
皆さまの会社で行っているマーケティングも、1つの集中戦略事例と言えるでしょう。

どの戦略を採用すべきか?

気になるのは、3つの競争戦略から、どれを採用すべきかです。

考慮するポイントは様々あります。以下のポイントを総合的に加味して、判断されることが多いです。

・商品の性質
・自社の強み
・競合企業の強さ、数
・資金力
・自社ノウハウ
・将来性 etc…

このとき「集中戦略」のことは一旦お忘れください。
何かしらの戦略をとるときは、集中するのが必須です。

そうなると

のどちらかを選ぶことになります。

一般的には差別化戦略が採用されやすいかと思います。なぜなら、コストリーダーシップ戦略をとるには資金力が必要だからです。

コストリーダーシップ戦略は、大量生産によるスケールメリットを働かせるのがポイントです。大量生産ができる設備を用意して、大量仕入れで原価を安くし、従業員を増員するなど、多額の資金が求められます。

中途半端にコストリーダーシップ戦略を採用しても、大企業と価格競争になったときには、勝ち目は薄いかもしれません。

そこで差別化戦略です。
独自の商品を開発して、価格競争から抜け出しましょう。

補足として、マイケル・ポーターは「コストリーダーシップ戦略と、差別化戦略は、どちらか一方しか採用できない」と論じています。

差別化戦略は、他との違いを作るために投資しているので、そのぶん価格を上げないといけないため、コストリーダーシップ戦略とは相反するのです。
他にも、企業としての一貫性が失われる、社内が混乱するなどの理由もあります。

しかし、近年では「両取りもいけるのでは」と囁かれています。

コストを下げながら、ユーザーから見た価値をあげる「バリューイノベーション戦略」という考えの登場です。

たとえば、1000円カットの床屋は、シャンプーなどを省略して利益を維持し激安ながら価値を落とさず、時間がないサラリーマンや、理髪代にお金をかけたくないユーザーに人気です。1人あたり10分前後で終わるので、回転率も高くできます。

こういった「まさにイノベーション」な事業もありますが、基本的には、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略、どちらか一方を選ぶようにお考えいただければ間違いはありません。

まとめ

マイケル・ポーターが提唱した競争戦略をご紹介しました。

・コストリーダーシップ戦略
 大量生産によるスケールメリットで、安くする戦略

・差別化戦略
 他にはない明確な差をつくり、高くする戦略

・集中戦略
 ターゲットを絞り、効率的に投資する戦略

商品開発の際には、ぜひ思い出してみてください。
きっと良いアイデアに繋がるはずです。

商品開発に縁がない人は、競合商品に注目してみるのがおすすめです。
低価格の裏には、コストリーダーシップ戦略がとられているかもしれません。
価格の裏側には、暴力的ですが奥深い、競争戦略の世界が広がっています。

売上を拡大するには価格だけでなく、マーケティング戦略全体の設計が重要です。
マーケティング課題を分析できる診断もあるので、ぜひお試しください。

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想定される活用シーン

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想定される診断タイプ

パーソナライズ

ライター:イノウエガク

Webマーケター/コンサルタント

元地方公務員。UUUMネットワーク所属YouTubeクリエイター。作家。 YouTubeチャンネル「元公務員イノウエガク」を運営。1年半でチャンネル登録者数2万人に成長しUUUMネットワークに所属する。その他、転職セミナーなどにも登壇している。

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