MA・SFA・CRMの違い|最初に導入すべきツールを企業別にご紹介!
見込み客の育成は「MA」、営業活動のサポートは「SFA」、顧客管理の効率化は「CRM」、どれも便利ですが、一度にすべて導入するのは大変です。そこで本記事ではMA・SFA・CRMの違いや、どれから始めるか検討するポイントをまとめました。
公開日:2022.8.31
ITツールは便利ですが、たくさん使うのは大変です。
「ツールを導入すれば効率化するけれど、業務が複雑になる…」
という実感がある方も多いのではないでしょうか。
使い始めるなら「1番役に立って」「1番効果がある」ツールから選びたいところです。
そこで今回は「見込み客の獲得→営業→顧客管理」という、ビジネスの基本的な業務を効率化するツールを、3種類ピックアップしました。
貴社のビジネスの状況に合わせて「使い始めるならこれ!」というツールをご紹介します。
MA・SFA・CRMの役割
事業を拡大していくためには、マーケティング活動により見込み客を獲得し、商材によっては営業活動を行い、商品・サービスを購入してもらう必要があります。さらに一度購入して終わりにするのではなく、適切に顧客を管理し、リピート・アップセル・クロスセルを通じてさらに事業拡大を狙っていくのが通常です。
MA・SFA・CRMは、これらの一連の活動(業務)を効率化するツールです。
見込み客の獲得〜育成〜抽出をMAで効率化し、その後SFAを使って効率よく営業、購入した顧客の情報はCRMで管理する、という考え方です。
3つすべて使えばより効率的ですが、1つでも十分パワーがあります。すべて未導入の企業が3つを一度に導入すると業務フローが変わりすぎてしまうため、1つずつ使い始めていく企業も多いです。
そこで問題になるのが、どれを最初に使うかです。まずは各ツールの特徴について確認してみましょう。
見込み客を育成し、商談数を増やすなら「MA」
商材に興味・関心を持ってから、顧客側で検討する時間が長い場合は「見込み客の獲得〜育成」に時間がかかります。
そのため、メールマガジンなどで顧客に有益な情報や「企業が生き残っていくためには◯◯が必要です」といったホラーストーリーを伝えて、少しずつ育成することが重要です。
また、見込み客それぞれの検討フェーズにあわせてアプローチする必要があります。例えば、同じ資料請求でも「なんとなくの購入検討」か「本気で購入を検討している」かで、アプローチも変わります。
このあたりも最適化してアプローチしたいのですが、人力でやるには多大な人的コストがかかります。それを半自動化するのが、MAです。
MAができること、メリット
MAは、見込み客の獲得から育成、購入の確度が高い見込み客を抽出するまでが得意分野です。具体的な対応範囲は以下の通りです。
MAはこの3つを半自動化し、マーケティング・営業効率を大きく改善させます。リードクオリフィケーションを例にあげると、顧客のWeb上の行動履歴などから購入確度をスコアリングし「スコアが10を超えた見込み客にはこのメールを送る」「スコアが20を超えたら商談できる確率が高いから、通知を出す」といったことが可能です。
MAツールを使ったマーケティングの事例や、より詳しい仕組みはコチラの記事でも解説しています。
MA活用時の注意点
見込み客の獲得〜育成〜抽出を得意とするMAですが、苦手なこともあります。
「集客」はできない
完全自動化はできない
特に注意したいのが、MAツールだけでは集客ができない点です。
顧客のメールアドレスを獲得するまでは、広告やセミナー、資料請求、コンテンツマーケティングなどで、集客してあげないといけません。つまり社内にリードがほとんど溜まっていない状況でMAツールを導入しても効果は得られませんので気を付けましょう。
また、完全自動化はできません。見込み客の反応や世間のニーズにあわせて細かい調整は必要です。大半の業務は自動化されますが、完全自動にはならないことは覚えておいてください。過度な期待を持ち過ぎないことも大切ですね。
受注率の向上・売上予測を立てたいなら「SFA」
SFAは、商談や営業活動の管理が得意なツールです。
商談管理はかなり複雑です。顧客情報(企業情報)・案件情報・営業進捗などをExcelやスプレッドシートで管理するのは難しく、工数もかかります。
SFAはそれらを一元管理して効率化します。営業日報やレポートの作成も補助するため、工数はかなり抑えられるでしょう。
SFAができること、メリット
SFAは以下のような情報を管理し、営業活動を支えます。
MAはメールアドレス単位で管理することが多いですが、SFAは基本的に商談単位で管理することも特徴の一つです。商談がどれくらい進んでいるか、売上予測はどれくらいかを管理して、営業活動の進捗を見える化します。
クラウドで提供されることが多く、出先でも入力できる点も魅力です。宿題や進捗を忘れる前に正確に記入できますね。
また、営業の手法やノウハウを蓄積できることもメリットです。各営業パーソンの営業方法がデータ化されるため「こういうやり方だと受注率が高い」といった勝ちパターンの確立にも役立ちます。新人の育成にも効果があるでしょう。
SFAの注意点
SFAは便利なツールですが、導入するだけでは意味がありません。
商談の履歴や内容を、細かく入力する必要がある
営業パーソンにSFAの使い方を周知・育成するコストがかかる
MAは作業を半自動化できるツールですが、SFAは商談の度に情報を入力しないといけません。営業パーソンの頭のなかで完結していたタスクや、ちょっとしたやり取りも、できる限りSFAに入力することが望ましいです。これまで、情報管理をしていなかった企業にとっては「入力コスト」が新たに発生することになるのでご注意ください。
また、実際にSFAを使うのは営業パーソンなので、使い方の周知・育成も必要です。ITが苦手な方がいるかもしれませんので、できるだけ使いやすいものを選びましょう。
最初に仕組みを構築する必要はありますが、それができれば強力なツールです。
顧客管理やアフターフォローの効率化・リピートを狙うなら「CRM」
「MAとSFAがあったら、もう完璧なんじゃないか」とも思えますが、この2つでは管理できない分野があります。それが受注後の顧客管理であり、CRMの得意分野です。
CRMは顧客と良好な信頼関係を維持し、リピート注文やファン化を図るツールです。受注した顧客の情報を一元管理し、顧客ごとの注文履歴や、カスタマーサポートとのやり取りも管理します。
分析にも優れています。顧客の年齢・性別・購入履歴・閲覧履歴などから「顧客が求めているものは何か」を探せます。顧客との信頼関係を長く・良好に維持するために便利なツールです。
CRMができること、メリット
CRMは受注した顧客の情報をまとめて管理します。
MAとCRMはよく似ていますね。目的を比べてみると、MAは「見込み客を自動で育成し、商談につなげること」を目的にしていますが、CRMは「顧客満足度やロイヤリティの向上」を目的にしています。
MAのゴールは商談や購入であり、それに適した構造に作られています。
MAのデータベースには購入していない顧客と購入した顧客が両方存在し、資料請求の履歴、セミナー参加歴、自動メールの送信履歴……などの情報もあるため、このデータベースをCRMにも使おうとすると少し扱いにくくなります。
そのため、MAとCRMという形で、別々のツールとして利用することが多かったです。CRMには購入した顧客の情報だけが集まり、扱いやすくなるわけです。分析能力にも優れ、顧客情報から「好み」を分析し、嫌いな商品は提案せずに関係を維持することが得意です。
また、お問い合わせ履歴の蓄積も、信頼関係の維持に役立ちます。「同じ顧客の問い合わせに、別々の担当者が対応し、違うことを伝えてしまった……」なんてミスも防止できます。
しかし最近はツールが進化して、MAとCRMの機能を両方持ち合わせるツールも登場してきました。1つずつ導入するのは大変ですが、こうした両対応のツールなら導入コストも少なくなるのでおすすめです。
CRMの注意点
業界によって、顧客管理の考え方はさまざまです。「◯◯業界に特化したCRM」もあり、得意・不得意がハッキリしているツールもあります。
例えば、不動産業界に特化したCRMでは、物件情報の入力や空室管理、入居者ごとの契約更新・退去事務など、業界ならではのタスクにも対応しています。
自社の顧客管理をするときに、どんな情報を管理したいのかを整理しておくことをおすすめします。それに対応できるCRMを探してみましょう。
また、顧客の購入履歴をトリガーにして、自動でメールを送れるCRMもあります。機能を盛るほど高級になるため、どんな機能が必要かも整理しておくと安心です。
【具体例】どのツールがオススメ?
MA、SFA、CRMそれぞれの対応範囲と、どんな企業にオススメかまとめました。
MAが得意なのは、集客した見込み客へのアプローチと、そこから商談につながりそうな確度の高い見込み客を見つけ出すことです。具体的には以下のような企業におすすめです。
・顧客のメールアドレスはある程度もっているけど、十分にアプローチできていない
・資料請求の申込みは多いけど、商談につながりにくい
・コンテンツマーケティングやセミナーなどで集客できる基盤がある
SFAは煩雑な商談管理を効率化するツールです。営業活動を盛んに行っている企業に適しているでしょう。
・営業方法が属人化を解消したい
・受注率が下がってきている
・営業の進捗を他部署と共有したい
CRMは購入した顧客管理を効率化するツールです。顧客情報が多い企業ほど、管理コストの減少効果が高くなります。
・大量の顧客情報を抱えている企業(小売り・EC・不動産など)
・既存顧客とカスタマーセンターのやり取りが多い企業
・ロイヤリティ向上が売上に大きく関わる企業
どれから導入するか考えるときは、業務を洗い出したり、現場の悩みをヒアリングしたりして、企業のボトルネックを探してみてください。それを解決できるツールが見つかれば、大きな効果がありますよ。
各ツール導入時の共通の注意点
導入時はコストや機能だけでなく、そのツールが「目指す理想的な状態」は何かを必ず確認しておきましょう。「手軽にシンプルに自動化する」がゴールだったり、「とにかく詳細に記録する」がゴールだったり、各ツールでコンセプトが異なります。
また、MA、SFA、CRMは連携することでより強力になります。将来的に連携させることも想定するなら、連携性能が高いものにしておくと良いでしょう。
もっとも注意したい点は、MAもSFAもCRMも「集客」を行うものではありません。上記とは別軸で、コンテンツマーケティングやSNSマーケティングも進めたいですね。
まとめ
MA・SFA・CRMの特徴や違いについて解説しました。
すべて一度に導入することもできますが、それには業務フロー全体を見直さなければなりません。社員全員がIT化を望んでいるとも限らないので、まずは1つずつ、スモールスタートをしてみてはいかがでしょうか。
導入を進めるときは、社内に担当者を1人設けましょう。入力項目の整備や、定期的な名寄せ、社員からの質問回答などの担当者です。担当者といっても専任でなくても大丈夫です。
社内にITツールを導入する意味を周知し、全員にメリットがあると伝え、皆が前向きに取り組めると良いですね。最初は大変ですが、慣れた頃には大きなメリットが生まれるはずです。
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