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コトラーの「マーケティング5.0」とは?何がどう進化したのかをわかりやすく徹底解剖

マーケティングの新たな基本コンセプトとなるマーケティング5.0が発表されました。本記事では、マーケティングコンセプト更新の意義や背景、5.0の5つの構成要素とそれぞれの立ち位置を理解し、マーケターとして何ができるのかを解説します。

更新日:2024/04/12

マーケター診断(リード獲得用)

マーケティング5.0が2021年に発表されました。日本版も2022年4月に発表されて反響を呼んでいます。マーケティング3.0が2009年(邦訳版は2010年)、マーケティング4.0は2016年(日本邦訳:2017年)に発表されています。

この12年間にマーケティングの基本コンセプトともいえるものが3度も更新されたことになります。

度重なる更新の主たる理由はデジタル技術の進展です。

デジタル化によって、消費者の生活様式が変われば、消費者と企業の接点の持ち方も変わってきます。マーケティングの考え方もこうした変化に応じて進化していくため、私たちマーケターは知識をアップデートし続けなくてはなりません。

そこで、本記事ではマーケティング5.0の中身をわかりやすく解説し、これからのマーケティングをどう進化させる必要があるのかを考えます。

マーケティングの変化の歴史

マーケティング5.0を語る前にこれまでの変遷を振り返ります。マーケティング1.0から4.0までを簡単にまとめると以下の通りです。

マーケティング1.0から4.0まで

なお、マーケティング4.0や時代の変遷については別記事で詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。


次に、なぜマーケティング5.0へとこのタイミングで更新されたのか?
その背景を見ていきましょう

マーケター診断(リード獲得用)

マーケティング5.0が生まれた3つの背景

マーケティング5.0が生まれた背景として以下の3つの点を上げています。

マーケティング5.0が生まれた3つの背景

それぞれについて解説します。

世代間ギャップ

以下は世代の変化とともにマーケティングが進化していることを表したものです。

世代間ギャップ

現在のビジネス社会において経営者やマーケティングリーダーと言われるような人たちはX世代もしくは、Y世代にあたる人たちが多いでしょう。

X世代は、経験値としてマーケティング1.0~4.0までの進化の流れを知っています。

一方で、マーケットの中で影響を与える存在は、Z世代/α世代へと移り変わっています。生まれた時からインターネットのある彼らは従来とは異なる消費者行動や価値観を持っているとされています。

Z世代向けのマーケティングについては以下の記事もご参照ください。


Z世代以降の人たちは、テクノロジーを自分の相棒のような存在とみなしています。彼らは自分たちがより必要で価値のあることに集中できるようにテクノロジーを常にそばにおいているのです。

Z世代、α世代が市場の中心となっていくこと、AIやロボティクスといった次世代テクノロジーが急速に発展し、カスタマージャーニー(5A)のすべてのプロセスにおいて顧客価値を生み出すことに活用されるようになったことが大きな意味を持っています。

5Aについては後ほど簡単にご紹介します。

富の2極化

富の2極化は、経済的な格差がライフスタイルや雇用、その他、生活のあらゆる面での2極化を生じさせているということです。

その状況を打開するために企業はよりサステナブルなマーケティング活動が必要となります。その指針は、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)にあるとしています。

デジタル・デバイド

デジタル・デバイドとは、情報技術を使える人と使えない人の間に発生する情報格差のことです。

デジタルの普及はグローバルで進んでいますが、それでも完全には普及していません。機械が人間の仕事を奪ってしまうという恐れや、テクノロジーによって人と人の関わりで培われていた貴重な経験が失われるといった考え方が障壁となっています。

こうした考え方は思い込みや想像で語られることも多く、しっかりと事実を把握する必要があります。

もし仮に機械によって単純作業の仕事が無くなったとしても、今度はその機械を扱う仕事が新しく生まれるはずです。

またSNSのコミュニティのように、テクノロジーは人と協力して人間関係の親密な関係をより強化するものにもなりえます。

マーケティング5.0が生まれた3つの背景をご理解いただけたかと思いますので、次にマーケティング5.0とは何かについて見ていきましょう。

5A理論とマーケティング5.0

マーケティング5.0の詳細についてお伝えする前に、まずはマーケティング4.0で提唱された5A理論を簡単にご紹介します。

5A理論とは、スマートフォン時代のカスタマージャーニーとして定義されたもので、以下の5つのステップからなります。

5A理論

このマーケティング4.0における5A理論をさらに進化させたのがマーケティング5.0です。

以下の図のようなネクストテクノロジーを活用することで、カスタマージャーニーのすべてのプロセスにおいて企業と顧客とのタッチポイントを作り、価値を提供することを可能にします。

新しい顧客体験×ネクスト・テクノロジー

言い換えると、マーケティング5.0とは、マーケティング4.0の基本的な考えであるデジタルを活用した人間志向をさらに進化させるために、テクノロジーをパートナーとして活用することを目指したものなのです。

ただし、テクノロジーにすべてを任せるのではなく、従来の対面をどのポイントで組み入れるのか入念に設計する必要があります。

では、マーケティング5.0が具体的にどのようなものなのか、構成要素を見ていきましょう。

マーケティング5.0 5つの構成要素

マーケティング5.0には、5つの構成要素があります。

マーケティング5.0 5つの構成要素

この5つの構成要素は、2つの規律(ベースとなるもの)と、3つのアプリケーションとに分かれます。

2つの規律とは、データドリブンマーケティングとアジャイル・マーケティングのことです。3つのアプリケーションとは、予測マーケティング、コンテクスチュアル・マーケティング、拡張マーケティングのことを指します。

それぞれについて説明します。

データドリブンマーケティング

マーケティング5.0の出発点となるものがデータドリブンマーケティングです。ビッグデータによって、マーケティングにおけるセグメンテーションやターゲティングの概念は一変しました。

本書において「セグメント・オブ・ワン」という言葉が使われています。分かりやすく言えば、顧客一人ひとりに対してパーソナライズされたマーケティング活動が可能となったのです。

注意点として、データドリブンマーケティングを決してITプロジェクトで終わらせてはいけないとしています。

データドリブンマーケティングについて詳しく知りたい方は以下の記事をお読みください。

予測マーケティング

データドリブンマーケティングによって実現できることが「未来の予測」です。

これまでも統計データを使って将来予測をすることは可能でした。従来との違いの一つはわずかなサンプル量ではなくビッグデータとなったこと、もう一つはAI(機械学習)がデータを扱うことで、未来を予測するためのパターンやモデルを自ら作成してくるようになったことです。

マーケターが求められるのは、統計的な専門的知識ではなく、そのような予測モデルがどのように機能して、そこからどのような洞察が得られるのかの戦略的な理解力となってきます。

コンテクスチュアル・マーケティング

コンテクスチュアルは、「文脈上の、前後関係の」という意味です。別の言い方をすると「忖度(そんたく)」とも言えるでしょう。AIやIoTを駆使して状況に応じたコンテンツを提供します。

タクシーの助手席の後ろにモニターを設置しているケースが増えているのをご存知でしょうか?

モニターからはニュースやCMが流れるのですが、AIが乗客のおおよその年齢や服装から、興味を持ちそうな内容のCMをピックアップしています。これがAIを活用したコンテクスチュアル・マーケティングの一例です。

他にもスマートフォンの位置情報を活用して店内滞留時間から顧客の興味を特定できます。コンテクスチュアル・マーケティングによって、顧客の活動情報からそれぞれにあったプロモーションを行えるのです。

拡張マーケティング

拡張マーケティングは、チャットボットやバーチャル店員といった人間を模倣した技術を応用して顧客体験の向上を目的としたものです。

日本のファミリーレストランでも、店内でテーブルまで料理を運ぶ配膳ロボットを導入する店舗が増えてきました。

配膳ロボットを導入した店舗では、従業員は人でしか対応できないような接客業務に集中することができるので、結果として顧客満足が向上するといった効果がみられています。

Webマーケティングの領域であれば、診断コンテンツが例として挙げられるでしょう。

ユーザーに質問を投げかけ、回答に応じた結果を提示する診断コンテンツは、セールス担当者による「顧客へのヒアリングと提案」を一部自動化できます。

例えばBtoCであれば、下記のスキンケア診断のように、ユーザーの肌状態を分析して最適な化粧品をレコメンドする。

BtoBであれば、下記のパーソナライズ戦術診断のように、ユーザーのビジネス課題に応じたパーソナライズドマーケティング施策を提案する、といった形です。

診断による商品レコメンドとパーソナライズドマーケティングについては、以下の記事で解説しています。

アジャイル・マーケティング

「リアルタイム分析」によって、市場の受容性を確認し、俊敏(=アジャイル)に新製品を投入することをアジャイル・マーケティングと言います。

本書において成功事例として、アパレルブランドのZARAが紹介されています。ZARAは、世界中のアパレルファッションショーのトレンドをモニターして、リアルタイムでデザインチームが生産するアイテムを決定します。素材の調達はデザインと同時進行で行い、モデルによるファッションショーでの披露(キャットウォーク)から、わずか2週間で店頭に商品をならべることを可能にしています。

アジャイル・マーケティングが必要な理由は、急速な市場の変化にあります。製品ライフサイクルの短縮化はどの産業でも起きています。そして、新しい商品・サービスは短期間で時代遅れになってしまいます。

アジャイル・マーケティングを可能にするためには、小ロットで実際に市場に出してみて改良を加えながら価値を提供するような柔軟な組織体制が必要となってきます。

これまで、マーケティング5.0の5つの構成要素をそれぞれご説明しました。最後に、これらの構成要素とマーケターの役割について説明します。

5.0のプロセスの中心にいるのはいつもマーケター!

前述の図にあるように出発点はデータドリブンです。ビッグデータをよりパーソナライズされたマーケティング活動に活用することを目指します。

3つのアプリケーション(予測、コンテクスチュアル、拡張)は目的達成のためのマーケターのパートナーです。そして、市場ニーズに俊敏に対応するアジャイル・マーケティングへとつながっていきます。

以上が、マーケティング5.0のフローです。

絶対に忘れてはならないことは、その中心にいるのはいつも人間であるマーケターだということです。

人としての価値が重視されることについてはZ世代、α世代においてより顕著になっています。マーケティングにおける人間の役割がテクノロジーによって弱められることはありません。

5.0のプロセスの中心にいるのはいつもマーケター!

まとめ

マーケティング5.0の背景と構成要素、その位置づけについてご説明しました。

テクノロジーは、市場の主役となるZ世代、α世代がそうしているように、マーケティング活動にもパートナーとして寄り添ってくれる関係へと進化しています。テクノロジーと協力することができれば、カスタマージャーニーのすべてのプロセスで顧客価値を高められます。

とはいえ、いきなりテクノロジーと協力しよう、と言われても戸惑うかもしれません。

そんなときは、彼らのことを知ることから始めてみてください。さまざまな活用事例を参考にしてご自身の商品・サービスへの活用可能性をイメージしてみましょう。そのような努力はX世代、α世代の価値観の理解にもきっとつながるはずです。

最初にも述べましたがマーケティングは時代の変化に合わせて進化しています。私たちマーケターはその進化に合わせて成長していく必要があります。

皆さまの成長のために、当メディアが少しでもお役に立てれば幸いです。
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パーソナライズ

ライター:荒尾 康宏(あらお やすひろ)

経営・マーケティングコンサルタント

ヘルスケア業界にてグローバルマーケティングに10年以上従事、プロダクトマネージャーも務める。現在は、中小企業診断士として製造・流通業などのマーケティング及び営業コンサル業務に従事する傍ら中小企業の役員も務める。

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