menu

ブログ「明日のマーケティングは、今日の発見から。」

ランチェスターの法則をわかりやすく解説。織田信長も使ったビジネスに役立つ考え方

ランチェスターの法則をわかりやすく解説。織田信長も使ったビジネスに役立つ考え方

「自社商品のシェアが広まっていかない」「大手に勝てない」
とお悩みではないでしょうか。

なんの策もなしに、大企業に戦いを挑んでも結果は目に見えています。

資金が豊富な大企業に正々堂々真っ向から勝負して勝つのは、非常に厳しいでしょう。

戦争では「戦いは数」と言いますが、それはビジネスでも同様です。強い相手と戦うには、奇策を仕掛けなくてはなりません。

そんなときに有用なのがランチェスターの法則です。「弱者が勝つための戦略」として知られており、これ1つ意識するだけでも、マーケティングの成果に大きな違いが生まれます。

そこで今回は、ランチェスターの法則について紹介しながら「弱者が勝つ戦略」と「強者がとっている戦略」の両面から見ていきます。

彼を知り己を知れば、百戦あやうからず。

これはビジネスにおいてよく参考にされる「孫子の兵法」の一節ですが、敵と味方の両方の情勢を把握していれば何度戦っても負けることはないという意味です。

弱者が勝つ戦略だけを知っているだけでは「己」を知っているだけの状態ですよね。強者は強者なりに様々な工夫を重ねていますので、その「彼」の戦略を理解することも大変重要です。

どちらもシンプルな法則で、一度読めばすぐにご理解いただけますので、ぜひ最後までご覧ください。

ランチェスターの法則の威力

ランチェスターの法則を使えば、たとえ弱者であっても、売上・シェアを増やせます。

100年以上前に発明された法則ですが、今でもしっかり成り立っています。「弱者が、強者に勝つ方法」として多くのマーケターに使用されてきました。

なお、ランチェスターの法則においては、業界No.1の会社を「強者」とし、No.2から下を「弱者」と表現します。「弱者」とカテゴライズされたとしても、それ即ち「弱い企業」と結びつくわけではありませんので、ご留意ください。

続いて、ランチェスターの法則、その生い立ちに触れてみましょう。豆知識のような話題ですが、この法則を語るにはとても重要な部分です。

もとは「戦争で勝つための戦略」

もとはと言えば、ランチェスターの法則は戦争で勝つために作られたものです。これは企業同士の戦争ではなくて、ほんとうに国と国との戦争です。

1914年、フレデリック・ウィリアム・ランチェスターが発明しました。ちょうど第一次世界大戦が始まった頃で、近代戦を有利にすすめる方法を説いておりました。

そんなランチェスターの法則は「狭い戦場でなりたつ第一法則」と「広い戦場でなりたつ第二法則」の2つで構成されます。

「狭い戦場でなりたつ第一法則」と「広い戦場でなりたつ第二法則」

戦闘力だとか、武器性能だとか書いてあるのをみると、本当に戦争向けの法則だったというのが分かりますよね。

これがどうやってマーケティングに活かされるのか、第一法則から詳しく見ていきましょう。

ランチェスターの第一法則「弱者が勝つための戦略」

「弱者が勝つための戦略」として知られているのが、この第一法則です。

人数で劣る戦争で用いられる戦略です。

狭い通路で一対一で殴り合いをする状況を想像をされると、だいたいあっているかと思います。局所戦です。

広い荒野で、ずらりと武士が並んで、やあやあと刀で斬り合う、そういった戦いでは人数がものを言い、兵士数で劣ると厳しい戦いになります。

たとえば、こちらの兵士が4千人。相手が2万5千人。そんな厳しい戦いに勝利するには? ランチェスターの法則によると、相手の人数を制限するように戦うのがベストです。

実際に、4千人vs2万5千人で勝利した戦いがあります。織田信長と今川義元が戦った、桶狭間の戦いです。織田軍は4千人、今川軍は2万5千人でした。

人数で劣る織田軍は、正面から戦いを挑みまず、山中で休息していた今川軍を奇襲します。山に囲まれているため今川義元は大軍を展開できず、近くにいた武将も池や谷を迂回して来るため、戦いが始まってもすぐには駆けつけられません。そうして人数を生かせない状況をつくり、大将を討ち取り、織田信長が勝利しました。(各軍の人数や、当時の状況には諸説あります)

相手の人数が多いなら、人数が少なくなるような場所を作る。これもまた、ランチェスターの第一法則です。

これをマーケティングに置き換えれば「ニッチに特化すれば弱者でも勝てる」となります。

数式では次のように表記されます。

■ランチェスターの第一法則
武器効率(質)× 兵力数(量)=戦闘力

数式でみると複雑ですが、実際はシンプルな理論です。
ようするに、武器の強さが同じなら、人数が多い方が勝ちます。

具体的な事例をもとに考えてみましょう。

コンビニエンスストア業界は、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなどの超大手がしのぎを削りあっています。

そんななかで「北海道限定コンビニ」という局地戦で勝利しているのが「セイコーマート」です。北海道では、店舗数No.1。人口の少ない離島にも出店する地域密着っぷり。自治体との連携もしていて、地元民に愛されています。

このように、業界No.1の強者に勝るには、相手の人(リソース)が少ないところで戦えばよいのです。マーケティング風に言えば「ニッチな業界」です。

ニッチな業界に集中投資し、大手が人(リソース)を割かないところで、特化・差別化をすることで、勝機を作っていきます。

たとえ局地戦でも、そのジャンルでNo.1を取れれば、業界No.1という実績と、それを獲得するまでの経験・ノウハウが次への飛躍に繋がります。

シンプルながらも確立した理論ですので、どんな業界でも活用できますね。

では、このような局地戦を挑まれた「強者」は、どんな立ち回りをしてくるのでしょうか?
それは、ランチェスターの第二法則が教えてくれます。

ランチェスターの第二法則「強者が勝ち続けるための戦略」

ランチェスターの第二法則は、「強者が勝ち続けるための戦略」です。

■ランチェスターの第二法則
攻撃力=武器性能(質)× 兵士数(量)× 兵士数(量)

第一法則は「武器効率×兵士数」でしたが、第二法則は「武器性能×兵士数の二乗」になります。

どうしてこんな式になるのかを説明しますが、少し複雑になるので、マーケティングでの活用方法を早く知りたい方は飛ばしてください。

「アルゴリズムや数字の話が大好き!」という人は、ぜひご覧ください。単純ではあるものの、よく考えられた理論です。

■ランチェスターの第二法則が「武器性能×兵士数の二乗」になる理由

ランチェスターの第二法則は、広い戦場において成り立つ法則です。

広い戦場では、一対一の戦闘とはならず、一人が複数の敵と戦います。
これまた野蛮な話ですが、広い戦場では、ライフル銃で複数の敵に撃ちますからね。

では、具体的に、実際に戦闘している状況を考えてみましょう。

A国の10人と、B国の4人が撃ちあっています。A国とB国のつかっているライフル銃はまったく同じ性能です。

筆者はA国に所属し、がんばって戦闘しています。

B国のひとりが銃を撃ちました。A国にいる筆者に銃弾があたる確率は1/10です。A国には10人いますから、そのうちのひとりに当たる確率は1/10ですね。

しかしB国は4人いますから、4人がうてば弾は4発。筆者に当たる確率は「4/10」です。これをA国の損害量としましょう。

B国の立場でも、計算方法は同じです。A国が撃った弾が、B国の誰かに当たる確率は「1/4」。10人撃てば弾は10発ですので、B国の損害量は「10/4」です。

比較してみましょう。

A国が受ける損害=4/10=16/40
B国が受ける損害=10/4=100/40

40ずつかけて分母をとってしまいます。

A国が受ける損害=16
B国が受ける損害=100

ここで、A国が受ける損害は、B国の攻撃力といえます。
同様に、B国が受ける損害を、A国の攻撃力とすれば……

B国の攻撃力=16=B国の人数(4人)の2乗
A国の攻撃力=100=A国の人数(10人)の2乗

というわけで、
攻撃力=武器性能(質)× 兵士数(量)× 兵士数(量)
となるのでした。

さて、上記のような理由でランチェスターの第二法則が成り立つのですが、これをマーケティングに置き換えてみましょう。

広い戦場で戦うというのは、複数の敵と戦うこと。つまりシェアNo.1の大企業が、No.2以下の会社と戦う状況といえます。故に強者が勝ち続ける法則なのです。

強者がもっている強みは豊富な資本です。お金であり、人材であり、ブランドであり……ようするに兵士数です。

兵士数では負けませんから、あとは同じ武器を用意すれば勝てます。
ところで、同じ武器とは何でしょうか。

考えてみましょう。

あなたが勤めている大企業は、豊富な経営資産をもっています。従業員も多く、資金も、ブランド力もあります。まさに業界No.1です。

しかし、そんな業界に鳴り物入りの新規参入者が現れました。あなたの会社が今まで手を出してこなかった「ニッチなジャンル」に特化した商品を開発し、注目を集めています。

さて、あなたが所属する大企業としては、どのような手を打つべきでしょうか?

ランチェスターの第二法則は、この問いにえげつない答えを出します。
それは「同じ武器を持って、兵士数の二乗で戦えばいい」です……

同じような商品を開発し、新規参入者よりも豊富なラインナップにすればよいのです。
資金・人数・ブランドを活かし、CMやウェブ広告をうち、弱者を打倒していきます。

これがランチェスターの第二法則です。第一法則とはまったく真逆の発想ですね。

弱者は、人がいないところに、強い武器をもって局所戦を挑んできます。相手の人数を制限するように戦ってくるのです。

強者は、人数が少ないところを攻められたら、同じ武器をつくって大人数で反撃します。もしくは、攻められる前にニッチな商品を作って制圧してしまいます。

ニッチを攻める弱者と、それに後出しで対抗する強者。現実でも見られる構造ですね。

もっと力技で「潤沢な資金をもとに、新規参入者を買収し、自社の武器にする」なんて事例もありますね。GoogleやFacebookなどの超大手企業が行っているのを、皆さまもご存知ではないでしょうか。

強者の方が有利に見えますが、やはり資金面で有利だと強いのは当然です。

しかしニッチというのは、需要が少ないことの裏返しです。そこに参入するのは大企業にもリスクがあります。愛と情熱、そしてリスクを覚悟した挑戦者だからこそ、特化できる領域なのです。

ニッチを攻めるときに覚えておきたいのが「特許」です。これもニッチを攻める中小企業の強い味方。最初に特許を取得できれば、あとから参入してきた大手企業にも負けない戦いができます。

テレビドラマ化もされたフィクション小説「下町ロケット」は、ロケットに必要不可欠な「バルブ」の特許を巡る物語です。ロケットに欠かせない「バルブ」の特許を、中小企業が2週間先に取得していたおかげで大企業を退けます。

そのほか、大手企業がすぐには導入できない柔軟な働き方(フレックス制度・副業OK・フリーアドレスなど)を取り入れて、優秀な人材を集めることもできるかもしれません。

資金力では勝負できないかもしれませんが、小さいからと言って武器がないわけではありません。これらを活用すれば、小が大に勝ることを、歴史が証明しています。

シェア割合から見る、自分の立ち位置

さて、ここまで「強者」と「弱者」の2つの立場から物事を見てきました。

ランチェスターの法則は基本的に、業界No.1こそが強者であり、No.2から下を弱者と区別します。しかし、実際は「No.3」ですとか「中堅」ですとか、いろんな立ち位置があります。

No.2から下が、すべて同じ戦略になるかといえば、もちろんそうではありません。No.2にはNo.2らしく、新規参入者には、新規参入者らしい戦い方があるでしょう。

そこで、ランチェスターの法則を、もっと細かく分類したものが作られました。
「シェアの目標数値」や「クープマンの目標値」と呼ばれるものです。

このシェアの目標数値では、業界でのシェア率ごとに、どんな状態にあるのかを解説しています。

シェアの目標数値

(参考:情報マネジメント用語辞典「シェアの目標数値」

自社の立ち位置がどこにあたるのか、確認してみてください。「シェアを広げるにはどうしたら?」という視点からマーケティングを見てみると、新しい発見があるかもしれませんね。

シェアの目標数値では、シェア割合41.7%の相対的安定値が、一般的なゴールだとしています。容易に達成できる数字ではありませんが、ニッチな業界で考えれば、ゴールは近いかもしれませんよ。

まとめ:小さくても勝つ!ランチェスターの法則を活用しよう

「弱者が強者を倒す法則」として知られているランチェスターの法則を解説しました。

もとは戦争のために作られた法則ですが、今はマーケティングの法則として活用されています。

■第一法則 弱者が強者を倒す法則
戦闘力=武器効率(質)× 兵力数(量)

→ニッチなジャンルに特化して、局地戦を挑む

■第二法則 強者が勝ち続ける法則
攻撃力=武器性能(質)× 兵士数(量)× 兵士数(量)

→資本を活かしてあらゆるジャンルに参入し、局地戦をさせない

中小企業・ベンチャー企業でも、ランチェスターの第一法則をもとに工夫を重ねれば、大企業に勝るはずです。大手企業の反撃(ランチェスターの第二法則)を意識して「特許」や「小さい会社なりの強み」で守りを固めていきましょう。

ランチェスターの法則はシンプルな理論なので、どんな業界でも活用できます。新しい商品を開発するとき、新キャンペーンを考えるときなど、さまざまな場面で役に立つかと思います。

改めて、業界内での立ち位置を整理してみると、新しい発見があるかもしれませんね。

ピクルスのブログでは、ランチェスターの法則以外にも、様々なビジネスフレームワークを解説しています。マーケティングの成果を上げる情報がたくさんありますので、ぜひご覧ください。