
多くのマーケターを悩ませる「社内コミュニケーション」の突破口
マーケターは、他部署との情報共有が欠かせません。しかし多くのマーケターが社内でのコミュニケーションに悩んでいます。この記事では部署間コミュニケーションを上手に進める方法と、やってはいけない情報共有のタブーをご紹介します。
更新日:2022.4.15 公開日:2021.11.11
メールやLINEのように、便利な道具がいくらあっても、人間関係の悩みは消えないものです。
それはマーケターも例外ではなく、多くの方がコミュニケーションに悩んでいます。
実際、マーケティング関連業務に従事している人に実施したアンケートでは、コミュニケーションに関する悩みのトップ3が「社内コミュニケーション」に関するものでした。
本記事をお読みいただいている方の中にも、他部署との意思疎通で以下のようなお悩みを抱えていらっしゃる方がいるかもしれません
・ほかの部署が何をしているか分からない…
・共有のメールは送ったのに「聞いてない」と言われたことがある…
・相手の気持ちを害さないようなメールを考えていたら、1時間かかったことがある…
・新キャンペーンのことを、別部署と情報共有できていなかった…
・部署間でギスギスしてきた…
もちろん「他部署との意思疎通が上手くいかないから諦めよう」とはいかず、マーケターは他部署とのコミュニケーションが欠かせません。
キャンペーン情報を他部署に共有することはもちろん、製造担当の想いをくみ取り、営業の手応えを知らなければ、売れる仕組みは生み出せません。
「情報共有をしよう」と口でいうのは簡単です。
しかし仕事に忙殺されていると、他部署とのコミュニケーションが疎かになり、ギスギスすることもあります。
心理学者アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と言いました。あながち嘘でもなさそうですね。
もしアドラーの言うことが本当なら、対人関係の悩みがなくなると、私たちはもっとストレスフリーに働けるようになるはずです。ギスギスした人間関係もなくなり、心地よい環境で仕事に打ち込めるようになるでしょう。
そこで今回は「マーケターのための、部署間コミュニケーションのコツ」をご紹介します。コミュニケーションスキルというと簡単ではないイメージがありますが、今回は「多くの方が、実践している基本的なテクニック」を「1つだけ」に絞ってご紹介します。
ご存知の方もいるかもしれませんが、改めて自身のコミュニケーションを見つめ直すことで、新しい発見があるかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。
「やってはいけない」社内コミュニケーションのタブー
以下のタブーを侵さないだけでも、日頃のコミュニケーションで失敗しにくくなります。

順番に詳しく説明していきます。
押しつけるだけの情報共有
突然ですが、他部署の気持ちになって、以下の状況を想像してみてください。
あなたはカスタマーサポートとして働いています。
今日は木曜日の15時頃。
クレームの電話を2つも受けて、もうヘトヘトです。終業まであと2時間ちょっと。短いようで長い2時間です。
そこに、マーケティング部署から1通のメールが届きます。
件名は「【重要|情報共有】来週からスタートする大型キャンペーン施策の注意点とお願いについて」。
ため息をつきながら開くと……宛先は「各位」。どうやら会社全体に送られたメールのようです。
目がチカチカする件名に気後れしながらも、義務感からメールを開くと……
長い挨拶から始まり、キャンペーンの詳細情報が事細かに書かれています。終盤には「カスタマーサポート部門へのお願い」という仕事の依頼までありました。
〆には、「ご質問があればマーケティング部門のAまでご連絡ください。よろしくお願いします」と、いつもの挨拶がついています。
あなたは、キャンペーン情報の詳細部分で分からないところが何箇所かありました。
憂鬱になりながらも返信メールを作ろうとしたところ、電話がなります。あなたはカスタマーサポート業務に戻りました。
問い合わせ対応しているうちに、あっという間に18時です。今日はもう帰ろう。「メールで分からないところは、誰かがきっと確認してくれるはず……」
そして後日、キャンペーンの詳細を知らないまま電話をとり、クレームがおきてしまいました。
他部署からの情報共有というのは、たいてい良い話ではありません。
長いメールを読まなきゃいけないし、仕事が増えることだってあります。
つまり、部署間の情報共有は、もとより歓迎されないことが多いのです。
「来週からこういう施策を始めるから、問い合わせが来たときは、~~~と回答してね」とカスタマーサポートに情報共有しておけば、組織としては正しいかもしれません。
しかし相手から見れば、仕事が増えただけです。こちらから押し付けるだけの情報共有では、相手が納得しません。
相手の仕事がいかにうまく進むかを考えて、手助けするつもりで情報共有することが肝心です。
伝えた「つもり」でコミュニケーション完了
先ほどの例でもお伝えしましたが、コミュニケーションは、こちらが発言したときではなく、相手が理解したときに完結します。
こちらでは伝えたつもりになっていても、相手が理解していないのであれば、コミュニケーションは完了しません。相手が理解するまで、ゆっくりと、順序正しくコミュニケーションする必要があります。
とくに「相手がいないコミュニケーション」は、まずもって成功しません。
この代表例が、メールのCCに、何十人も宛先を追加して送る「ばらまきCCメール」です。
ばらまきCCメールをもらったときは、「どうせ自分宛じゃない」と思ってしまうのが人間です。「誰かが読んでくれるだろう」とすぐにメールを閉じてしまいます。
相手がいないコミュニケーションは、完了することがありません。
とはいえ、メールを送る側の立場になれば「全員知るべき情報」は大量CCメールで周知せざるを得ないときもあります。
そんなときは、どのように対処したら良いのでしょうか。次に具体的なコミュニケーションのコツをご紹介します。
組織間コミュニケーションの突破口は「他部署のキーマン」をつかむこと
対組織に情報共有するには、組織のキーマンと1対1でコミュニケーションすることが重要です。

キーマンは周辺からの信頼が厚く、周りの人間に大きな影響を与えている人物です。
必ずしも偉い人がキーマンというわけでもありません。一般社員でも、信頼の厚さからキーマンとして機能している人物もいます。
先ほどのタブーの例でお話した、マーケティング部門のAさんは、カスタマーサポートのキーマンと打合せをしてから、情報共有のメールを送るべきでした。
「こんな新キャンペーンを来月から行います。そちらの部署から見て、不安要素や懸念事項はありませんか? カスタマーサポート部署の仕事がうまくいくように、いろいろ教えてください」
こんな風に相談すれば、話を聞いてくれるはずです。他部署を助ける体裁で、情報共有ができます。
ここで一つ注意点として、企業によっては、部署のラインを超えて部門長を通さずにコミュニケーションすることを敬遠することがあります。その場合は、あらかじめ部門長には施策実施の許可だけ先に得ておき、具体的な施策の詳細はキーマンと打合せを進めるなどの工夫をすることも大切です。
そうして見つかった懸念事項はあらかじめ潰しておき、それから情報共有のメールを作成します。
会社全体に同じメールを送るのではなく、部署ごとにメールを分けて、必要な情報だけを記載して送りましょう。他部署の担当者に「これは関係あるメールだ」と自分事に思ってもらえれば、きちんと中身を読んでもらえます。
メールを分けるのは手間かもしれませんが、この一手間で、その先の仕事が格段に進めやすくなります。ミスのリカバリー対応が減ると思えば、すぐに回収できるコストです。
一度このコミュニケーションに成功すれば、その先も同じキーマンにお世話になれるので、情報共有はずっと確実になっていきます。
このようなフローで情報共有していると、とある変化が生まれるのです。
あなたがキーマンになる
上記のような情報共有をしていると、あなたは自然と「いろんな部署と繋がりがあり、悩みも聞いてくれるし、情報をしっかり共有してくれる人」になります。
他部署との繋がりが強い人のもとには、いろいろな情報が集まります。
正しく情報共有してくれる人に伝えた方が、情報が広まりやすいからです。
そして、正しく情報共有する人のもとには、人が集まります。良い話を聞けるからです。
いつしか「他部署の情報が自然と共有されてくる」「皆から相談される」「仕事が集まってくるけど、仕事を助けてくれる人も増える」ようになり、あなた自身がキーマンとして、周囲に影響を与える存在になります。
各部署を繋げる人材は、会社にとって貴重です。部署間コミュニケーションが得意なことは、マーケターとしてのキャリアアップにも繋がるでしょう。
まとめ
多くのマーケターが、社内コミュニケーションに悩んでいます。
とくに部署間コミュニケーションは難しく、ストレスを感じている人も多いでしょう。
他部署とのコミュニケーションのポイントは、できるだけ1対1の話し合いを作ることです。信頼の厚いキーマンとやりとりをするように心がけましょう。
相手にとって「嫌な情報共有」にならないように、手助けする気持ちも大切です。こうした活動を続けていれば、いつしかあなたがキーマンとして信頼されるようになります。
いわば「根回し」に近いもので、すこし手間はかかります。しかし高いコミュニケーション能力が必要なわけではありません。大勢の人前に立つ必要もありません。
仕事の進め方・フローの改善というが正確で、今日からでも実践できる方法です。
一度成功すれば、キーマンとの繋がりは強くなり、その後の仕事がずっと進めやすくなります。ぜひ試してみてくださいませ。
ピクルスのブログでは、仕事が楽しくなる「気づき」が得られるコンテンツがたくさんあります。ぜひ他の記事も読んでみてください。
タグ: 組織開発

ピクルス / マーケターのバディ
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