講談社
講談社「Webプロモーションにおけるピクルスとの取り組み」
要望を超えた「プラスアルファ」の提案は、常に期待以上のレベル。作家や編集者の熱量に匹敵するキャンペーン案なら、ピクルスが頼りになる。
出版業界というエンターテインメント領域で、プロダクトの魅力をより強力に、マニアも含めたファン層にアピールするキャンペーン企画。与えられた概要や条件のもと、ピクルスは長年のキャンペーンサイト制作や「キャンつく」で培われたSNSキャンペーンへの最新知識やノウハウで、その作り込みの高さも含め高評価を得続けているという。今回はピクルスと数多くのキャンペーンを成功に導いた講談社の北村氏と、両者のパートナーともいえる関係性や、逸話について語っていただいた。
講談社IT戦略企画室 デジタルソリューション部
コミュニケーションプランニング担当
北村 浩
株式会社ピクルスマーケティングディレクター
北川 星
初仕事から感じられた、プラスアルファの提案力。技術に基づくSNS施策の実行力も、ピクルスならでは。
北村浩氏(以下、北村氏):ピクルスに初めて依頼したのは2015年、「松田優作DVDマガジン」創刊に伴うWebサイトのデザインと実装の案件です。今なおカルト的人気を誇るカリスマの、初のDVDマガジンということで、生半可なものは作れないと思っていました。
「松田優作DVDマガジン」トップページ
北川星(以下、北川):「松田優作検定」キャンペーンをやりましたね。結果をTwitterやFacebookにシェアできる企画でした。
「松田優作検定」トップイメージ
(左からトップ、検定画面、結果画面)
北村氏:その仕組みの構築だけでも手一杯なはずなのに、ピクルスでは、ライターの炎がゆらゆら揺れるようなギミックなど、世界観に合ったこだわりまでギュッと詰め込んでくれた(笑)。そうしたプラスアルファを提案してもらえるのが印象的でしたね。しかも短期間で仕上げて頂いたランディングページですらこだわりの塊。これは良い会社だと確信しました(笑)
北川:このWebサイトは考えられることをくまなく盛り込んだもので、ページの仕上がり自体、とても長いものに。社内では3人で手分けして、何とかやり切ったと記憶しています。
北村氏:次の「ゴジラ 全映画DVDコレクターズBOX」のキャンペーンサイトも同様にマニアックなファン向けで、結果をTwitterにシェアできる「怪獣IQテスト」を作ってもらいました。それに、好きな怪獣を選んでツイートするキャンペーンもあり、狙いどおりにウケましたね。同じ人が何度でもツイートしてくれると、タイムライン上に長く残る。そこが評価ポイントになりますが、ピクルスにはSNS施策において「キャンつく」の自社開発で培った提案力があります。画像添付でツイートしてもらうための方法も、ピクルスからのアイデアでした。僕の個人的実感にはなるのですが、こういうものは他社、特にデザインメインの制作会社系では出てこないものなんです。
(左からIQテストTOP、解答画面、診断中画面)解答画面では、出題の順番や問題の内容をランダムで変更することで、ネタバレの回避や何度も挑戦してくれる回答者を飽きさせない工夫を施した。
(SNS投稿用結果画面)ユーザーの投稿モチベーションが高まるような内容の文章を作成することで、SNSでの拡散を狙う。
北川:たしかに私たちはSNSキャンペーンツールを開発しており、感想や写真投稿、投票、診断、クイズ回答などによるキャンペーン企画の経験が豊富です。年がら年中、そういったことばかり考えていると言っても過言ではありません(笑)。SNSにおけるトレンド入りや次のムーヴメントへのアンテナ感度も高く、社員同士、互いにアイデアをシェアする習慣もありますから、より面白い、新しい提案ができるのではないかと感じてます。
16人のキャラクターからのリプライが届く! バズらせる裏側でノウハウも溜めていくのは、ファーストペンギンの使命。
北村氏:新しいことに挑戦できるがゆえに、技術的に想定外が起きることもありますよね。最近だと「混物語(マゼモノガタリ)」の発売記念キャンペーンで、公開当初にTwitterのトレンド入りするなど話題になったのですが、予想を超えた反響があった為、問題も発生しました…
北川:西尾維新さん初のクロスオーバー小説で、登場するヒロインが16人。Webサイト上の診断コンテンツによるタイプ分けで、結果をツイートすると、16人のうち相性の良いキャラクターからリプライが届くかも?という企画ですね。
北村氏:いきなりバズってしまったのと、Twitter上のキャラクターにフォロワーが付いて無い状態でスタートしてしまったので、送信回数オーバーしてしまいリプライが送れない状態になってしまったんです。といった形で流行っているときにキモの仕掛けが利用できなくなってしまいました。Twitterの仕様なので、時間が解決するのを待つしかないかと思ったのですが、ここでもピクルスは対応が早くて、即日に対応案提示とサイト改修までやってもらえました。なので、ユーザーからのクレームも特に無くトラブルにならずに済みました。
困った時の対応力の高さ、正確さにも感謝してます。
(左から拾陸診断トップ、解答画面、診断結果画面)
北川:この施策は、ピクルス的にもファンの熱量を読み違えていたところがありましたね。プロモーション設計とコンテンツのUX設計で、送信回数オーバーについては回避ができたところもあったので、力不足を感じました。
北村氏:ただ、ピクルスには、こうしたファーストペンギン的な挑戦を一緒にやっていける、提案力と解決力、またそれに足る技術力があるわけなので、これに懲りず、またいろいろ仕掛けていきましょう!
作家や編集者にも負けない「プロダクトへの愛着」が、プラスアルファを生み出す。世界観に沿ったギミックで、SNS上の話題づくりを演出。
北村氏:プラスアルファということでは、「いぬやしき」のスペシャルサイトも印象的でした。あのキャンペーンは東宝で映画化される前でしたが、モデルに登場人物のメイクを施して原画と並べるビジュアルで駅張りポスターを展開するなど、講談社として力の入ったものだったんです。
ピクルスには、そのTwitterキャンペーンサイトを制作してもらいました。そこで、「賞品」「応募方法」といった文字がバグっているようなギミックを加えてくれて。こちらから要望したわけでもないのに、「いぬやしき」の世界観がビジュアライズされていて、やるなぁと感心させられました。
いぬやしき 第6巻発売&「リアル獅子神皓」公開記念! Twitterキャンペーン
北川:あの時は、ファンの方に「ワォ!」と思ってもらいたくて(笑)。ツイートボタンに触れると、背景にいきなり手のビジュアルが飛び出してくるサプライズも仕掛けました。世界観へのこだわりはもちろんですが、「ツイートしようとしたら手が出てきた!」というのがまたツイートされたりするのを期待して、SNSでより話題を狙うために作り込んだのです。目的はあくまでキャンペーンを盛り上げること。それを見失わず、単なる遊び心だけにならないよう、いつも心がけています。
北村氏:ピクルスは「オーダー通り」でも「オーダー以下」でもなく、「オーダー以上」のアウトプットをしてくれるんですよね(笑)
(投稿選択画面)ユーザーが投稿する際に、ボタンにロールオーバーすると、獅子神皓の手が飛び出してくるギミックを実装。
北村氏:この手のものは「面白い!」と思わせれば正解というところがあります。このサイトビジュアルは作家や編集者もチェックしていますが、違和感を唱えられることもなく、この表現が世界観に合っていたと認められた形。ピクルスは、その頃合いに長けているので安心して制作を託せるのです。
そもそも、どの会社でも自社の製品やサービスには自信があり、愛着があるものですが、出版業界では作家や編集者の熱量というのがひときわ、ものすごいのです。いっぽうで、コミュニケーションプランニングを担当するこちらでは、同時に複数案件を抱えてもいるわけで、同等もしくは上回るような熱量で応えるのはなかなか難しい。それでも、ピクルスとタッグを組めば、作家・編集者に匹敵する熱量で相対していける。コンテンツに対して、並々ならぬ愛着をもって接してくれているから、頼りになるんですね。
社内でアイデアをシェアする、ピクルスの闊達な風土が、さらに魅力ある、新しい企画を生み出す原動力に力を貸してくれてる感じなんです。
北川:そう言っていただけると有難いです。ユーザーやお客様に、より魅力を感じてもらえるよう、ベストを尽くすのが介在する私たちの価値だと思うので・・・ これからもがんばります!
毎回、北村さんから企画概要が出されると社内で話し合い、アイデアを出し切るのですが、エンターテインメント領域の講談社様の案件は、担当外の社員も関心がとても高いのです。制約も比較的少ないので、やってみたかったアイデアを試せる可能性も高く、前例のないようなアイデアも集まりやすいですね。それに、北村さんが企画を通してくださる実現率も高いですよね。予算外の提案に対しても判断をすぐいただけ、制作スケジュールの点でも助かっています。
北村氏:それは、私自身もWebサイトを構築する側の出身なので、時間や予算に制限のある中でも、最小限のコミュニケーションコストで、最大限の効果を目指したいというのがあります。ピクルスとは、熱量の高さとともに、スピード感や働き方改革的観点もふまえた時間の使い方でも感覚が近いので、やりやすいですね。
実現率については、応えられればピクルスとしても、さらに上を目指した提案もしていただきやすいでしょう。そういう良い循環ができていますね。また、予算的に見合わないプランでも、別の機会に実現できることもあります。講談社の他の部署に、自信を持って紹介できるクオリティもありますから、意欲的な提案は大歓迎です。先日いただいたジェネレート企画も、別件で大きく展開ができるかもしれません。
今後は、たとえばピクルスの本領であるSNSキャンペーンなどで企画段階からの参加なんて、どうでしょう? さらに上流で、ゼロからのブレストを一緒にやっていくことも期待したいですね。
北川:ぜひ、やらせてください! これからも引き出しを豊富に、いろいろな企画を社内のスタッフこぞって温め、お待ちしています。
(取材・文:久保田かおる)リクルートで旅行・学び分野の編集経験を積み、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」を実践。現在は、ビジネス(経営・HR)や医療領域のインタビュー&執筆を中心に活動。