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ブログ「明日のマーケティングは、今日の発見から。」

バリューイノベーションを事例つきで解説!たった4つの質問でブルーオーシャンを作りだす

バリューイノベーションを事例つきで解説!たった4つの質問でブルーオーシャンを作りだす

・世の中になかった、新しい商品を作りたい
・競合他社がいない商品を開発して、市場を独占したい

ビジネスをするなら、こんなことを考えてしまう日もあります。

しかし、ライバルがいないブルーオーシャンを見つけるのは簡単ではありません。「あっ」と驚くような、冴え渡るアイデアが必要です。

ところが、近年のマーケティングの進歩により、ブルーオーシャンを探し出すフレームワークが発達してきました。

そこで今回は、ブルーオーシャンを見つけ出すのに便利な「バリューイノベーション」というフレームワークをご紹介します。

既存のビジネスに、4つの質問をするだけで、革新的なビジネスモデルが見つかるかもしれません。実際にブルーオーシャンを見つけた事例もあわせて紹介しますので、ぜひご活用ください。

ブルーオーシャンとレッドオーシャンとは?

はじめに、ブルーオーシャンとレッドオーシャンについて、軽くご説明します。

ブルーオーシャン(青い海)とは、競争相手のいない、まったく手付かずの分野です。真っ青な綺麗な海で、伸び伸びとビジネスができる状態ですね。

対してレッドオーシャン(赤い海)は、すでにライバルが多い、競争の激しい分野をいいます。「血みどろ」の戦いが繰り広げられている……そんな状態です。

ちなみに、ブルーオーシャン/レッドオーシャンという言葉は、比較的新しい言葉で、日本では2005年に発刊された「ブルー・オーシャン戦略」という本が始まり。日本だけでなく世界中でも読まれ、世界発行部数350万部、43カ国語で出版されたベストセラーです。

同書では「レッドオーシャンから脱出して、競合のいないブルーオーシャンを切り開くべきだ」と説きます。

レッドオーシャンとブルーオーシャン

そのために有効な手段として「バリューイノベーション」が紹介されています。

バリューイノベーションとは

一言でいうならば、レッドオーシャンから抜け出す方法です。

既存のビジネスを改めて、「企業とユーザー、どちらにとっても価値が増す、新しいビジネスを作る」ことをバリューイノベーションといいます。

これが注目されるのは、バリューイノベーションが、低コスト化と付加価値の向上を両立できる(と著者が主張している)ことです。

たとえば「1000円カット理髪店」は、シャンプーなどを減らして低コスト化しているのに、ユーザーにとっては素早く終わって便利、と価値を向上しています。

実はこれまで、低コスト化と付加価値の向上は、両立しないというのが定説でした。

別記事でご紹介したマイケル・ポーターの競争戦略では「差別化(付加価値向上)をする場合、付加価値を生む分の開発費がかさむため、価格は上がらざるを得ない」と主張しています。

記事はこちらから
3種類の「価格戦略」を事例つきで解説|最適な価格設定でマーケティングを有利に!

その定説をひっくり返すのが、バリューイノベーションです。

ニッチとブルーオーシャンは同じ?別物?

マーケティングの定説「ニッチ戦略」と、ブルーオーシャン戦略は、似て非なるものです。
違いを整理しましょう。

ニッチ戦略とは、スキマを狙う戦略です。
すでに小さい市場があるけれど、小さすぎて採算が合わなかったり、面倒だったりして、他の企業が参入していなかった市場を、あえて狙います。

ブルーオーシャン戦略は、誰も気づかなかった(気づいてもやれなかった)市場を狙う戦略です。顧客が大勢おり、ニーズや悩みはたくさんあるけれど、とある理由で放置されていた問題を解決します。

ニッチ戦略と違い、未開拓の市場を切り開くのがブルーオーシャン戦略ですね。

さて、説明はこのあたりにして、次章からブルーオーシャンを見つけ出す「バリューイノベーション」の具体的方法をご説明します。

ブルーオーシャンを見つけだす「4つの質問」

ブルーオーシャンを見つけ出すために有効なフレームワークが「バリューイノベーション」です。

バリューイノベーションのやり方は非常にシンプルで、既存のビジネスに以下の4つの質問をします。

4つの質問

低コスト化(減らす・取り除く)と付加価値の向上(増やす・付け加える)を両立する、バリューイノベーションの基本的な考え方です。

先に紹介した「1000円カット理髪店」では、このようになります。

・減らす:待ち時間、ヘアカットの時間、メニュー、価格
・取り除く:シャンプー、予約システム、スタッフの氏名
・増やす:システムユニット(紫外線消毒器やクローゼットなど)、お客様の回転数
・付け加える:券売機、エアウォッシャー(髪の毛を吸い取るバキューム)

このような工夫をして、低コスト化と、付加価値の向上を両立しています。

1000円カット大手のQBハウスを取材したインタビュー記事や、QBハウス公式サイトでは、上記以外の工夫も多数見られます。

QBハウス公式のYouTubeチャンネルでも「なぜ10分でカットが出来るの?」という質問に回答する動画もあります。気になる方は、こちらもぜひご覧ください。

バリューイノベーションのポイント

「バリューイノベーション、考えてみたけど、思いつかない」というのが、きっと正直なところではないでしょうか。

筆者もそうでした。
一攫千金の可能性がある、ブルーオーシャンがそう簡単に見つかるものか! という意見は置いておいて……

取り除きやすい/付け加えやすいものをいくつかあげてみました。

・場所
・時間
・客層(年齢や性別)
・提供方法(メニューや選択肢)

これらは、バリューイノベーションの「減らす/取り除く/増やす/付け加える」を考えやすいポイントです。

さらに、次章のバリューイノベーションの事例もご参考いただきながら、ぜひ新しいビジネスを見つけてみてください。

事例で見る「バリューイノベーション」

実際にバリューイノベーションした事例をご紹介します。

シルク・ドゥ・ソレイユ

1984年にカナダで発足したサーカス集団、シルク・ドゥ・ソレイユは、バリューイノベーションによって成功した有名な事例です。

従来のサーカスより高価格ではありますが、大幅なコストカットを実現。
斜陽産業であったサーカスで、大きな成功を収めました。

具体的には以下のような工夫があります。

・減らす:危険性、スリル、ユーモア
・取り除く:花形パフォーマー、動物ショー、館内販売、複数ショーの同時並行
・増やす:独自のテント
・付け加える:テーマ性、快適な観賞環境、演目種類、芸術性の高いダンス

注目したいのは、取り除いた部分です。
サーカス業界が抱えていた課題を、ごっそり排除しています。

報酬が高騰していた外部の花形パフォーマー(サーカス界のスター)を雇わず、自社のパフォーマーを育成しました。象やライオンなどの動物ショーは、飼育費だけでも高額になりますし、動物愛護の観点で社会的な圧力も強くなっていましたが、これも丸ごとカット。

このようなコストカットに加えて、サーカスの伝統様式を取り入れつつ、演者の人間性を強調する「新サーカス」と呼ばれるスタイルに変えていきます。

大道芸やオペラ、ロック、ミュージカルなどの要素も取り入れ、他のサーカスにはない芸術性・ストーリー性も付け加えました。サーカスと言えばテントですが、シルク・ドゥ・ソレイユはホテルで開催することが多く、観賞環境も快適に。

このようにコストカットしつつも、価値を向上させました。既存のサーカスとは競争せず、大人や法人顧客を相手にし、価格も向上。結果、大成功を収めました。

シルク・ドゥ・ソレイユが作った、テーマ性・芸術性のもと、レベルの高い自社のパフォーマーによる演技を行うため、ライバルはいません。

まさに、ブルーオーシャン、バリューイノベーションです。

wii

2006年に任天堂が発売した家庭用ゲーム機です。
白くて細長いコントローラーを振り回して遊ぶコンセプトが特徴的でした。

そんなwiiですが、実は、ゲーム機としてのマシンスペックは低め。当時はPS3やXbox360など、実写のような綺麗な映像が注目されていたにも関わらず、あえてそれを捨てているのです。

これをバリューイノベーションの4つの質問にまとめてみると、このような工夫が隠されています。

・減らす:マシンスペック、画質の良さ、消費電力
・取り除く:ハードディスク、DVD再生機能
・増やす:直感的な操作
・付け加える:「家族全員に関係するゲーム」というブランディング

wiiの開発段階で、当時の任天堂社長の岩田氏は、ゲーム人口が減っていることを知ります。

どうすればゲーム人口が増えるか考えた結果、ゲームが家族から嫌われないことを目標に「お母さん至上主義」を掲げました。

お母さんが嫌うもの、喜ぶものを考えた結果……
既存のゲーム機から、本体を小さく、電気代は安く、価格もずっと抑えたゲーム機になりました。

「家族全員に関わりのあるゲーム機」というブランディングも特徴的です。wiiのCMは、お父さんお母さん、お爺ちゃんお婆ちゃんもいっしょにプレイする映像を流していましたね。

低コスト化と、付加価値の向上を両立したwiiは、任天堂の据え置きゲーム機のなかで、当時もっとも多く売れました(2017年時点)。
(参考資料:イノベーション実現メソッドの有効性に関する考察)

ちなみに本記事執筆時点で最新機種であるSwitchは2021年末までの累計販売数がwiiを超えたそうです。工夫と進化を続けて過去の実績を超えていく姿は見習いたいものですね。

先に紹介したシルク・ドゥ・ソレイユも、wiiも、未来の技術や革新的な進化があった訳ではありません。

既存ビジネスから何かを足し引きして、誰も気づかなかったブルーオーシャンを見つけました。

まとめ

競合他社がいない市場、ブルーオーシャンを見つけ出す「バリューイノベーション」をご紹介しました。

既存ビジネスに、以下4つの質問をして、低コスト化と付加価値の向上を両立できるビジネスを探してみてください。

・既存のビジネスから「減らすべき」要素は何か?
・既存のビジネスから「取り除くべき」要素は何か?
・既存のビジネスに「増やすべき」要素は何か?
・既存のビジネスに「付け加えるべき」要素は何か?

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