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ブログ「明日のマーケティングは、今日の発見から。」

顧客価値とは?求められる背景と価値向上のためのマーケティング手法を解説

顧客価値とは?求められる背景と価値向上のためのマーケティング手法を解説

「お客様に末永く満足してご利用いただきたい」

これは、マーケターだけでなく事業に携わるすべての人の想いです。

当たり前ですが、商品・サービスは一度の購入・契約で終わってしまうのは望ましくなく、リピート(継続)してもらうことを目指します。

リピートしてもらうために重要なのが「顧客価値」です。商品・サービスに満足し価値を感じてくれなければ単発での利用で終了してしまいます。

昨今、この顧客価値の重要性が高まっており、それに応じてマーケティングの役割にも変化が起きています。

本記事では顧客価値が求められる背景と、価値を高めるためのマーケティング手法を解説いたします。

サブスク時代のマーケターの役割

顧客価値の重要性が高まる以前のマーケターの役割には以下の3つがありました。

1. 顧客に興味をもってもらい
2. 納得してもらい
3. 購入してもらうこと=受注目標の達成及びシェアの拡大

BtoBビジネスの場合、3は営業部隊が担うこともありますが、どちらにせよマーケティングが関与するのは購入してもらうまでです。つまり、購入後の顧客との関係維持に努めるカスタマーサクセスは別の部署が担当していることが多かったのです。

このマーケティングの役割、位置づけに変化がおきています。
その大きな理由の一つが、サブスクリプションビジネスの拡大です。

サブスクリプションとは、定額料金を支払うことで一定期間サービスを利用できるビジネスモデルです。クラウド型ITサービス、動画・音楽の有料配信サービスやカーシェアリングなど、BtoB/ BtoC関わらず様々なサブスクリプションビジネスが生まれています。

このサブスク時代を迎えたことで、顧客の購買行動が「所有」から「利用」へと変化しました。

その結果、意思決定のポイントも「購入」から「契約」へと代わり、契約関係を続けることの重要性が高まっていきます

するとマーケターの成果指標は、受注・市場シェアだけでなく顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)も含まれるようになり、カスタマーサクセス領域へと役割が広がりました。顧客生涯価値とは、一人の顧客が取引を開始してから生涯に渡ってもたらしてくれた利益の総額を指します。

LTVを増大させるには、長期間解約せずに顧客であり続けてもらう必要があり、商品・サービスに満足して価値を感じ続けてもらわなくてはなりません。この顧客の期待を上回る満足を提供することによって生み出される価値のことを「顧客価値」といいます。

顧客価値を常に維持・向上させることができなければ顧客は離れてしまい、最終的にLTVを低下させてしまうのです。

では、どうすれば顧客価値を向上できるのでしょうか。その答えを知るために、まず顧客価値の構造を理解することから始めましょう。

顧客価値ヒエラルキーについて

顧客価値において重要なのは、顧客が価値を感じてくれているかです。当たり前ですが企業が価値があると主張しても、顧客がそう感じなくては意味がありません。

そしてもう一つ大切なポイントは価値は段階的になっていることです。価値は常に一定ではなく、一度価値を感じてもらえても、そこに留まっているとすぐに低下してしまいます。

顧客価値の階層について、アメリカのコンサルタントのカール・アルブレヒト氏が90年代に出版した著書「見えざる真実」で提唱した4階層の顧客価値ヒエラルキーをご紹介します。

顧客価値のヒエラルキー

この4階層のヒエラルキーは、顧客がどの要因に最も高い価値を見出しているのかを知ることで競争優位を見出そうとしたものです。

ヒエラルキーの最下層は基本価値です。これは、絶対不可欠な要素です。クルマであれば、ガソリンが入っていればしっかりと動くこと、そして、ブレーキを踏めば止まることです。

第2段階は期待価値です。これも当然のごとく期待するもので、クルマディーラーによる細かな商品説明などが該当します。

3段階目は、願望価値です。顧客は必ずしも最初から期待していなくても、あれば高く評価するというものです。クルマの場合、顧客の周辺の月極駐車場の情報を集めてくれたり車の愛好家が集まるサークルを紹介してくれるなどでしょう。

最上層のレベルは未知価値です。文字通り、顧客が期待すらしなかったもの、驚きをもって受け止められる価値です。未知価値は、一度、顧客が認識をすると既知になってしまい願望価値に格下げされます。長続きしないというのが難点です。

サブスク時代のカスタマーバリューとの比較

上記の顧客価値ヒエラルキーはサブスクリプションビジネス登場以前に提唱されたものですが、サブスクリプション拡大を前提においた著書「マーケティングの新しい基本」(奥谷孝司、岩井琢磨著)において紹介されているカスタマーバリューの3階層を比較してみると、顧客とのつながりが顧客価値の向上に寄与することがより鮮明になってきます。

カスタマーバリューとの比較

まず、基本価値と期待価値ですが、右側のピラミッドでは顧客が当然のものとして受け取る「機能価値」としてまとめられています。しかし、どんな商品でも機能価値だけではもはや顧客は買ってくれません。

3段階目の願望価値は「体験価値」と置き換えられています。デジタルを含めた顧客接点の中で顧客の体験による価値が期待以上のものである場合に得られるものです。

最上層の未知価値はつながっている価値に置き換わります。顧客が企業とつながっていることで未知の驚きを感じたときに時に得られる最高級の顧客価値です。

2つのピラミッドを比較すると、顧客とつながり続けて顧客価値を維持することの重要性がより鮮明に伝わってきます。

つながりを活用して顧客価値を向上するためにはどのようなマーケティング活動が必要となるのか?次章で見ていきましょう。

顧客価値を向上・活用するためのマーケティング手法

デジタル技術が進展する以前は、顧客とつながり続けることは非常に困難でした。例えば商品・サービスをどれくらい活用してくれているのかも、お客様に直接話を聞くしかなく、一時的につながることはできても継続的なつながりを持つのはどうしても難しかったのです。

しかし、現在ではクラウド型のサービスが増えてきて、利用状況を把握しやすくなったのはもちろん、自社アプリをダウンロードしてもらったり、LINEに友達登録してもらったりすることで大多数の顧客とつながることが可能になりました。

そしてつながりをもった顧客に対して常に新たな価値提案ができるようになったのです。

ここでの注意点は、つながりを持つこと自体はゴールではありません。絶えず新たな価値提案ができないと簡単につながりを断たれてしまいます。

では、どうすれば顧客から価値を認められてつながりを維持することができるのでしょうか?前述の奥谷、岩井氏の著書「マーケティングの新しい基本」において提唱されているのが、エンゲージメント4Pです。

エンゲージメント4P

皆さまはマーケティング4Pのフレームワークをご存知でしょうか?

マーケティングの実行戦略として、商品・サービスを顧客へ提供するまでの戦略の組み合わせのことです。具体的には、製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)の4つの英単語の頭文字をとって4Pです。

このマーケティング4Pにおける、Place=流通戦略は現場のオペレーションレベルで議論されることも多く優先順位が他の戦略要素よりも低くなる傾向があります。

しかし顧客とのつながりを考えるうえで、顧客接点としてのPlaceは極めて重要な役割を担っています。そこで提唱されたのが、エンゲージメント4Pです。

エンゲージメント4Pとは、これまで流通、販売経路と訳されていたPlaceが、顧客とのつながる場所=顧客接点という意味に変化しています。Placeを顧客接点と置き換えて、4Pの中でも最優先に持ってくることで、残りの3P(製品、価格、販売促進)に対しても競合が追随できないような変革を加えるというものです。

エンゲージメント4Pを図示すると以下のようになります。

エンゲージメント4Pの仕組み

4Pの一つであるPlaceを顧客とのつながりの場とすることで、顧客一人ひとりにパーソナライズしたProduct(商品・サービス)、Price(課金方式)、Promotion(販売促進)へと変革をもたらします。

また企業と顧客がつながることで、企業と顧客との双方向での情報交換が行われます。顧客の購買データや行動データは蓄積されていき、そのデータにもとづいて継続提案が行われます。この提案こそが顧客価値の向上につながるのです。

つながりが顧客ニーズを充たす事例:フィリップス ソニッケアー

エンゲージメント4Pを考える上でも、顧客ニーズに立ち戻って考えることは非常に重要です。顧客ニーズに着目して、エンゲージメント4Pを実践している事例として、フィリップス社の電動歯ブラシ「ソニッケアー」をご紹介します。

そもそも、電動歯ブラシを顧客が求める理由は何でしょうか?

電動歯ブラシの価格は通常の歯ブラシの何倍もします。交換するブラシヘッドも一般的な歯ブラシよりも高く設定されています。それでも購入する顧客には達成したいニーズがあるはずです。

電動歯ブラシを求める人のニーズは、歯を清潔に保ちたい、虫歯になりたくない、高齢になっても自分の歯で食事を楽しみたい、などです。

しかし、電動歯ブラシを買っただけでは、顧客ニーズを満たすことはできません。実際に使用して通常の歯ブラシよりも効果があったと実感してもらう必要があります。

そこで、フィリップス社はソニッケアーのアプリを開発することを考えたのです。

ソニッケアーのアプリには、ニーズを満たすための様々な機能があります。まず、歯磨きを習慣化するための記録機能。また、歯磨き時間と磨き残しの分析、ブラシヘッドの状況から交換時期を知らせてくれます。アマゾンとも連携が可能で定期購入までできるようにしています。歯医者の予約まで記録できるようになってます。

アプリでのつながりが顧客の歯磨き習慣の定着という役割を果たしてくれています。また、商品を提供するフィリップス社側では、アプリを通じて使用情報を収集でき、そのデータを活用したマーケティング、商品開発が可能になるわけです。

まとめ

顧客価値の重要性が高まっている背景と顧客とのつながりを活用した顧客価値の維持向上のための新しいマーケティング4Pのあり方についてご説明しました。ぜひ、顧客とのつながりの構築とそれを活用した顧客価値の向上のご参考にしてください。

さらに詳しく知りたい方は、本記事の参考書籍、奥谷氏、岩井氏の「世界最先端のマーケティング」、「マーケティングの新しい基本」をお読みください。