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ブログ「明日のマーケティングは、今日の発見から。」

プリンセス・マーケティングとは|女性の消費行動を理解する7つのポイント

プリンセス・マーケティングとは|女性の消費行動を理解する7つのポイント

「男性と女性の価値観や行動は何かが違う…」

日常の様々な場面でこのように感じたことがある方は多いのではないでしょうか。

マーケティングにおいても、男女の消費行動には一定の違いがあるという前提で進めていく必要があります。しかし、ダイバーシティ(多様性)やジェンダー(性差)の観点もあり、あまり公に論じられることはありません。

本記事においてもダイバーシティやジェンダーを軽視しているわけではありませんが、男女の消費行動の違いを把握しないまま、男性目線で女性向けの商品のマーケティングを行ってしまう(逆もまた然り)と、戦略や施策の方向性を見誤ってしまう事態に陥ることもありえます。

そのような失敗を防ぐためにも、男女の消費行動の違いに関する理論を押さえておくことはマーケターにとって損ではないはずです。

この男女の消費行動の違いに切り込んだのが「プリンセス・マーケティング」と呼ばれる理論です。本記事ではこのプリンセス・マーケティングの概要や要点を解説し、男女の消費行動の違いについて学んでいきます。

プリンセス・マーケティングとは?

プリンセス・マーケティングとは、女性の消費行動と男性の消費行動の違いを比較形式で解説したマーケティング理論です。

提唱者はインターネット通販の運営責任者としての経歴を持ち、現在はセールスコピーライターとしても活躍されている谷本理恵子氏です。

著者ご自身の経験から実務上で感じた男性と女性の消費行動の違いを『プリンセス・マーケティング 「女性」の購買意欲をかき立てる 7つの大原則』という著書にて解説しています。

書籍内では、実務上で感じた男性主導のマーケティングの常識への疑問から、プリンセス・マーケティングが生まれた背景が紹介され、女性特有の心の動きに焦点を当てることが購買の決め手となると説かれています。

「購買の決め手」は、解析ツールやヒートマップでも特定の難しいものだからこそ、経験則や消費者心理への理解が不可欠です。

プリンセス・マーケティングは著者の経験則に基づく理論となりますが、マーケティングの現場で女性の購買について日夜試行錯誤してきた著者のナレッジが濃縮されていると言えるでしょう。

プリンセス・マーケティングを理解するための7つのポイント

プリンセス・マーケティングでは、男女の消費行動や消費者信頼の違いを対比することで理解していく形式となっています。

具体的には以下7つのポイントに分けて、男女の消費行動の違いを解説します。

7つのポイント

本記事では『プリンセス・マーケティング 「女性」の購買意欲をかき立てる 7つの大原則(著者:谷本 理恵子、出版:エムディエヌコーポレーション)』から見出しを抜粋する形で、男女の消費行動の違いの例をご紹介しますのでそれぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 女性と男性では求めている「ストーリー」が違う

消費者が購買に至るまではそれぞれのストーリーが存在しますが、男女の消費行動のプロセス(ストーリー)がそもそも違うことから理解する必要があります。

マーケティングにおいても、カスタマージャーニーマップで顧客が購買までたどり着くまでのストーリー設定を行うことがあるため、男女が求めるストーリーの違いを知っておくことは不可欠です。

男女が求めるストーリーの違いについて以下の形で分類されています。

男性→冒険の中で成長していく英雄のストーリー【ヒーロー・ストーリー】
女性→新しい世界で自分らしく生きていくストーリー【プリンセス・ストーリー】

これは少年漫画と少女漫画のストーリーの違いで考えてみるとわかりやすいでしょう。

少年漫画は挫折や失敗を重ねて成長していくヒーロー・ストーリーが人気ですが、少女漫画は白馬の王子様と出会って新しい世界で自分らしく生きていくプリンセス・ストーリーが王道です。

このストーリーの違いをカスタマージャーニーや訴求方法に反映できれば、女性の心に響くマーケティング施策につながるはずです。

2. 女性と男性では登場人物の「設定」が違う

女性と男性では登場人物の設定も異なります。

ここで言う「登場人物」とは、何らかのマーケティング施策と接触している消費者自身のことです。(例:LPを読んでる読者、セールライティングを読んでいる読者、広告を見ている視聴者など)

消費者は購買行動を行うにあたり「それを得ることで自分はどうなるのか?(ベネフィット)」を想像しながら購買に至ります。そのため、マーケティング施策における登場人物の設定(ペルソナ)をするにあたり、男女の違いを知っておくことも重要なのです。

男女の登場人物の設定の違いは、以下のように分類されています。

男性:武器や装備を増やしてレベルアップを果たす【自分の力での成長を勝ち取る】
女性:「魔法」で一気に次元の違う世界へ【これまでとまったく違う自分へ】

女性と男性では登場人物の「設定」が違う

男性の購買はあくまで「レベルアップのための手段」であるのに対し、女性の購買は「これまでとまったく違う自分へ生まれ変わること」となるため、マーケティング上の登場人物の設定もそれに準じたものである必要があるのです。

ダイエット商品のマーケティングで考えてみましょう。

男性であれば「ストイックな訓練メニュー付きのダイエットプログラムで目標を達成しよう!」というアプローチが響くかもしれませんが、女性であれば「無理のないオシャレなダイエットで理想の自分に!」というアプローチの方が響くということです。

実際に、世にあふれている女性向けの商材(化粧品など)を見てみると、こういったアプローチやペルソナ設定がされていると感じるはずです。

異性がターゲットとして設定されているマーケティング施策にも注目し、分析してみるとプリンセス・マーケティングへの理解が深まることでしょう。

3. 女性と男性では主人公の「モチベーション」が違う

女性と男性では主人公のモチベーションが異なります。

この主人公とは、言うまでもなく消費者自身(toBなら顧客)のことです。
モチベーションとは動機や欲求のこと、つまり「何のために購買に至るのか?」です。

プリンセス・マーケティングでは、男女の消費行動のモチベーションの違いを以下のように分類しています。

男性:モテたい!勝ちたい!【社会的なステータスや客観評価を求める】
女性:ワタシらしい【自分自身の主観的な満足を求める】

男性は社会的なステータスや権威性などの客観指標のために購買するのに対し、女性は自分自身の満足のために購買するとされています。

これはファッション商品で考えるとわかりやすいかもしれません。

男性は異性にモテたり、ステータスをアピールしたりするためにファッション商品を購入する傾向がある一方で、女性は当人がどれだけ客観的な美貌にあふれていても「自分のため」にファッション商品を購入するというわけです。

そのため、異性にモテる実利がない結婚後にも美容商品の購入に貪欲になる女性もたくさんいます。

男性目線からすればわかりにくいかもしれませんが、女性は自分自身の満足を追求することが購買の大きなモチベーションなのです。

4. 女性と男性では意思決定の「中身」が違う

女性と男性では購買プロセスにおける、意思決定の中身が違います。

男性は慎重に情報収集を行い比較しながら、購買を検討して買うか買わないかを決める傾向があります。一方で、「衝動買い」は女性特有のものとされており、その場で見て運命を感じたら購入することが多いです。

男女別でこの意思決定の分類をすると、以下の通りになります。

男性:しっかり吟味して最高のものを手に入れたい【しっかり検討して決定したい】
女性:運命の商品との出会いこそ買い物の醍醐味【とりあえず試してみたい】

この分類に照らし合わせれば、価格の比較を徹底して行える「価格ドットコム」は典型的な男性向けの消費を促すサイトだと言えます。

逆に女性向けには「試してみたい」という心理を満たすため、美容品や化粧品の試供品が数多く用意されていることから、性別を意識したマーケティング戦略が見えてくることでしょう。

5. 女性と男性では何を「信じる」かが違う

女性と男性では購買にあたって何を信じるかが異なり、男性は加点法で考えるのに対して、女性は減点法で見るとされています。

男性は騙されないように比較検討しながら決めるのに対し、女性は運命の出会いにときめきを感じて違和感がないかどうかを確かめて決めることが多いそうです。

よりわかりやすく説明するのであれば、男性向けの訴求には「機能性:信用できる中身」が重視されるのに対し、女性向けの訴求には「感覚:共感できるイメージ」が重視されます。

たとえば、化粧品の訴求では男性向けには「500ml」「△成分が5%配合」という定量的な機能性がセールスポイントとなりますが、女性向けの場合は感覚的な「たっぷり」「とろりと馴染む」というような定性表現でのセールスポイントの方が響きやすいのです。

男性は機能性を加点方式で評価して購買に至りますが、女性は最初の運命的な出会いに共感できない部分がないかを減点方式で判断して購買に至るというわけです。

より端的に言えば「ワタシのためでない」何かがあれば、それだけで減点されて購買に至らないことになるのです。

6. 女性と男性では「関係性」の築き方が違う

女性と男性では関係性の築き方も異なるとされ、これは以下のように分類されています。

男性:仲間であっても「縦の関係」を築く【同じチームでも仲間でもライバル】
女性:家臣であっても「横の関係」を築く【私たちという価値観を共有】

女性と男性では「関係性」の築き方が違う

マーケティング施策において、顧客との接点は「関係づくり」であると考えると、男女の関係性に対する価値観の違いも知っておく必要があります。

この「関係性」を理解するにあたって、マーケティング的なアプローチを女性が「上から目線」と感じるかどうかで考えるとわかりやすいでしょう。

たとえば、女性向けのセールライティングで「肥満の女性に!」と直接的な指摘を行うような訴求は「上から目線」と感じさせてしまい縦の関係に思わせてしまいます。

しかし、「これまでと同じやり方で痩せられない人に」「この方法で似たような女性が痩せました」と遠回しな表現(直接本人のことを指摘するわけでなく気づかせる表現)を使うことで「私たち」という横の関係と思ってもらうことができます。

7. 女性と男性では「未来」の見せ方が違う

最後に、男女の違いには未来の見せ方の違いを意識する必要があります。

マーケティングでは消費者に対して「その商品を得ることで未来の自分がどうなるか?」をイメージさせる必要があるからです。

これは以下のように分類されています。

男性:うまくいったことを拡大解釈する【根拠のない自信を持っている状態】
女性:ダメだったことを拡大解釈する【自信がない状態が初期設定】

男性は根拠のない自信を持っているため、過去の成功体験を彷彿とさせる訴求の仕方が有効です。一方で、女性は自信がない状態が初期設定ですので、ダメだった過去を丁寧にリカバリーしていくことが大切なのです。

これもダイエット商材の訴求で考えてみましょう。

男性は「ダイエットに成功して社会的に成功するイメージ」や「筋肉質で強い肉体に変化していくイメージ」を未来の自分の姿として見せることで、根拠のない自信で行動してくれます。

逆に女性に対しては「過去にダイエットに失敗した不安を解消する→専属トレーナーがつく」「ダイエットのために無理な食生活をした→ちゃんと食事を摂りながら無理なくダイエットできる」というような、過去のダメな自分や失敗に対して丁寧に不安を埋めていく必要があります。

プリンセス・マーケティングを実務で活かす際の注意点

プリンセス・マーケティングから男女の消費行動や心理の違いを理解したところで、実務で使う際の注意点についてご紹介していきます。

「男性/女性」での短絡的な決めつけをしない

マーケティングにおける消費者心理の分析は一歩間違えれば「レッテル貼り(決めつけ)」ともなりかねません。そのため、プレゼンに活用する際は相手に不快感を与えないために細心の注意を払う必要があります。

本人にその気がなくとも「女性はこういう消費行動をする!」と発言する行為自体が誤解を生む要因となります。

プリンセス・マーケティングで提唱されている「女性的な消費」は、あくまで男女で比較してこういった違いがあるという「傾向」に関しての説明です。男性であっても女性的な消費を行うことはありますし、女性であっても男性的な消費を行うことはあります。

ですので、必ずしも「男性/女性だから〜」というわけではないことは肝に銘じておきましょう。

ターゲティングやペルソナが明確に女性である時に活用すること

プリンセス・マーケティングは「女性的な消費行動」ですから、ターゲティングやペルソナが明確に女性であると決まっている時に活用することで真価を発揮します。

本記事で抜粋しているプリンセス・マーケティングの概要においても、感覚的な要素が多数存在します。

これらはロジックで理解できても、感覚レベルで理解できていない人も多いものです。また、本人が理解できていたとしても、チームメンバーや意思決定者の理解が得られるかどうかの問題もあります。

男女の消費行動の違いについて理解を得ることや、社内や取引先でのジェンダー問題も絡んでくるセンシティブなテーマともなりやすいので、プロジェクト全体で女性の消費行動に対して理解を得ていく姿勢は不可欠でしょう。

体系的な理論やデータに基づくマーケティング理論でないことを念頭に置く

プリンセス・マーケティングはあくまで著者の経験に基づく理論であり、ワードそのものにキャッチコピー的な側面もあります。

そのため、体系的なマーケティング理論を重んじたり、データに基づくアプローチが得意な相手には「一個人の経験則に基づく理論」として理解を得にくいことも予想されます。

そもそもの「男性的/女性的」という分類の段階ですら理解を得られない事態も想定できます。ダイバーシティやジェンダーの観点から「男女差別はNG」という考えもあるため、男女別に行動形態を分けること自体が暗黙的にタブー視されていることもあり得るからです。

実際、筆者自身も「女性にはこういう消費傾向がある」と説明しただけで、反感を買った経験があります。そのため相手や場面を選ぶ必要があることはもちろん、伝える場合も相手の目線に立ち最大限配慮するよう注意しておきましょう。

「プリンセス・マーケティング」は商標名登録されていることに注意

最後に重要な注意点となりますが「プリンセス・マーケティング」というワードは商標名登録されているため、利用の際には法的リスクを抑えておく必要があります。

出典URL:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/s0100

背景としては、著者である谷本理恵子氏がセールスライターでもあるため「プリンセス・マーケティング」というワードや理論自体が商標名としてマーケティング的な発想で提唱・運用されていると考えられます。

著者および著者の運営している法人「株式会社グローアップマーケティング」が女性目線の消費行動に対して理解を得るための取り組みを行なっております。

参考リンク:https://www.growup-marketing.co.jp/

もし、プリンセス・マーケティングに興味が湧いた方は、実際に書籍を読んでみてください

まとめ:男女の消費行動の違いを理解して最適なマーケティングを!

男女の消費行動の違いは日常生活でも感じることの多いテーマですが、プリンセス・マーケティングにて提唱された理論は非常に気づきや発見の多いものだと言えます。

国内企業ではダイバーシティやジェンダーへの取り組みは行っているものの、まだまだ男性的な価値観が主導となっている現実は否めません。マーケティングにおいても、その例に漏れないでしょう。

また、明確に女性向けのマーケティング施策であっても、男性的な価値観に基づいて意思決定されてしまい、ユーザーニーズに応えきれていないマーケティング施策も世の中には数多く存在します。

そういった施策にこそ、プリンセス・マーケティングの実践を通して、より女性の消費者心理に応えていく試みが必要なのです。

こうした背景も踏まえ、プリンセス・マーケティングを参考に、男性と女性の消費行動や心理への理解を深め、より良いマーケティングを実行できるきっかけにしていただければと思います。

本記事でプリンセス・マーケティングや男女の消費行動の違いが気になった方は、ぜひ本記事の元となった著書や著者が運営する法人のホームページや活動も参考にした上で、より男女の消費行動の違いに対しての理解を深めていただければ幸いです。